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「同僚の状況がつかめずコミュニケーションが取りにくい」「雑談しづらい」。新型コロナ対策で在宅勤務に取り組む企業ではこうした課題に直面している。解決策として注目が集まるのが「仮想オフィスサービス」だ。本特集では3回に分け、仮想オフィスサービスとは何か、メリットはどういうものかなどを分かりやすく解説する。今回は2次元の仮想オフィスを提供するサービスを取り上げる。

 2次元仮想オフィスサービスでは、同じ部署やチームのメンバーが2次元の仮想オフィス空間を通して互いにコミュニケーションを取れる。

 ここ1年で2次元仮想オフィスサービスが増えている。これまでもITディストリビューターのイグアスやテレワーク導入のコンサルティングなどを手掛けるテレワークマネジメントによる「Sococo(ソココ)」や、システム開発のソニックガーデンが提供する「Remotty(リモティ)」があったが、2020年8月、NTTコミュニケーションズが「NeWork(ニュワーク)」を、仮想オフィスサービスを運営するoViceが同名の「oVice(オヴィス)」を始めた。

2次元仮想オフィスサービスの例
サービス名(提供会社名)概要と特徴最低料金(税別)
NeWork(NTTコミュニケーションズ)仮想空間上でミーティングルームを示す「バブル」をクリックするだけで他のユーザーと会議などを始められる。ユーザーを表すアイコンの色で話しかけてよいかどうかを把握したり、バブル外のユーザーがバブル内の会話を少し聞いたりできる無料。有料メニューも提供予定
oVice(oVice)簡単な操作で全員の顔を見ながら打ち合わせをしたり画面を共有したりできる。ユーザーを表すアイコン同士の距離が縮まるにつれて相手の話し声が大きく聞こえる機能がある。会話内容が他のユーザーに聞こえない会議室スペースを設けている月5000円(最大同時接続50ユーザー)
Remotty(ソニックガーデン)ユーザーの席を示すアイコンを選ぶとチャットやテレビ会議でコミュニケーションが取れる。在席状況が分かる自動撮影画像を2分間隔で更新したり、各ユーザーのチャットの内容をタイムライン形式で表示したりする月2万円(10ユーザーまで)
Sococo(イグアス、テレワークマネジメント)ユーザーを表すアイコンの表示で話しかけてよいかが分かる。チャット、音声通話、ビデオ通話、画面共有機能などを備える。オフィスレイアウトは約70種類用意。Web会議サービスと連携可能 月2500円(1ユーザー)

 2次元仮想オフィスサービスのユーザーは、他のメンバーとコミュニケーションを取りたくなったら、そのメンバーのアイコンをクリックしたり、メンバーのアイコンに自身のアイコンを近づけたりする。こうした行動をきっかけに、音声チャットやビデオ会議、あるユーザーが使うパソコンのデスクトップ画面を複数ユーザーで共有する「画面共有」などを始められる。アイコンが赤くなるなどすると「取り込み中」というように、色を変えて「話しかけてよい状況かどうか」をビジュアルに把握できるようにもしている。

在宅の課題「孤独感」や「話しかけにくさ」を解決

 2次元仮想オフィスサービスの具体的な機能をSococoでみてみよう。Sococoでは70種類ほどあるレイアウトから、自分を含む部署やチームが仮想的に働くオフィスを選べる。あるレイアウトには、大きさが様々な部屋やエリアが用意されている。部屋などには「第一営業部」「中部営業部」といった部署の名前を設定できる。

 ユーザーはログインした直後、仮想オフィス上のどこに自身のアイコンを配置するか設定する。ログインしたら所属部署の部屋に自動配置可能だ。各アイコンには、ユーザーの状況に合わせて「離席」「話し中」といった状態をビジュアルに表示する機能がある。これらの機能を組み合わせれば、「第一営業部のAさんは出社しているかどうか、出社していたら話しかけてよいかどうか」がすぐ把握できる。

 会話したいときは、話しかけたいユーザーのアイコンをマウスでクリックするだけだ。チャットやビデオ通話、画面共有もすぐ始められる。音声会話は同じ部屋にいるユーザーとだけでできるようにしている。もし限られた人数で会話をしたい場合は、会議室に移動すればよい。仮想オフィスなので会議室への移動もマウスのクリック操作だけで済む。

仮想オフィスサービス「Sococo」の画面例
仮想オフィスサービス「Sococo」の画面例
(出所:イグアス)
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 こうした仕組みで、テレワークをするビジネスパーソンが直面しやすい課題の解消を狙っている。Sococoを提供しているイグアスソリューション事業部ソリューション営業部の尾澤輝門氏は「仲間と一緒に働いている感覚を強く持つことができて、テレワークを進めるうえでの課題の1つである孤独感を軽減できる。相手の様子が見えないので話しかけてよいのか分からないといったテレワークにありがちな悩みも解消できる。リアルなオフィスと同じように声かけや雑談が可能になる」と、説明する。

Sococoでは必要に応じてビデオ通話もすぐできる
Sococoでは必要に応じてビデオ通話もすぐできる
(出所:イグアス)
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 Sococoには相手の顔を見ながら会話できるビデオ通話機能があるが、Web会議サービスとの連携機能もある。Sococo上の簡単な操作で「Zoomミーティング」「Cisco Webex Meetings」、「Google Meet」や「Microsoft Teams」と連携してWeb会議が実施できる。これらのサービスを使うWeb会議もメンバーのアイコンをクリックするだけで始められる。会議用URLの共有といった事前の手間が省けそうだ。

2020年後半から注目度が急上昇

 2次元仮想オフィスサービスの関心度はコロナ下で高まっているようだ。テレワークマネジメントの田澤由利社長によるとコロナ前は「週1回、限られた人数の社員がテレワークをする」といった企業が多かったこともあり、「面白いけれども当社には不要」という反応が大半だったという。oViceを提供しているoViceのジョン・セーヒョン社長も「2020年6月に企業へヒアリングをしたところ、バーチャルな空間をオフィスとして利用することに否定的な意見が大半だった」と振り返る。

 しかしテレワークマネジメントでは、2020年5月に政府が緊急事態宣言を解除して1カ月後ぐらいから、問い合わせが急増した。oViceも低調だったヒアリングの結果を受けて、バーチャルイベント市場に進出することにしたが、2020年8月から急に仮想オフィス利用の申し込みが急増したという。