全4539文字
PR

「在宅勤務だと同僚の状況がつかめずコミュニケーションが取りにくい」「雑談がしづらい」。新型コロナ対策で在宅勤務に取り組む企業ではこうした課題に直面している。解決策として注目が集まるのが「仮想オフィスサービス」だ。本特集では3回に分け、仮想オフィスサービスとは何か、メリットはどういうものかなどを分かりやすく解説する。今回は会話やアイデア創出のしやすさを狙ったサービスを取り上げる。

 「オフィスにいるときとは違って、相手の様子がつかみにくく、今チャットなどでコミュニケーションを取ってよいのかが分からない」「複数のメンバーがホワイトボードを使いながら、事業や業務に関するアイデアを自由に出し合うといったことがオンラインではしづらい」。新型コロナ対策として在宅勤務を中心にテレワークが普及した企業では、こうした課題に直面しやすくなっている。

 こうした課題を解決するため、テレワーク環境下でも会話を始めたり、複数メンバーでアイデアを出したりしやすくする仮想オフィスサービスが登場している。このうち会話のしやすさに重点を置いているのが、テレワークツール開発のラウンズが2019年10月から提供している「roundz」だ。

会話やアイデア共有をしやすくする仮想オフィスサービスの例
サービス名(提供会社名)概要と特徴最低料金(税別)
roundz(ラウンズ)仮想オフィス空間を通してユーザー同士が音声チャットや画面共有などでコミュニケーションを取れるようにするサービス。他のユーザーに話しかけやすくするため、パソコンの利用状況などを踏まえて自動でユーザーのプレゼンス情報を表示したり、パソコンのキーボードのキーを押すと同じ仮想空間にいるユーザーに話しかけたりできる月891円(1ユーザー)
FUJITSU Work Life Shift Collaboration Space(富士通)情報共有用の仮想空間を通してユーザー同士がコミュニケーションを取れるようにするサービス。音声通話などをしながら情報共有用の空間「デスクトップ」にテキストや画像などのデータを「カード」として張り付けられる。複数のユーザーが同時にデスクトップを操作したり、カードを張り付けたデスクトップを保存して次の会議で利用したりできる月300円(1ユーザー)

パソコン作業中でもすぐに話しかけられる

 roundzは、話しかけてよいかどうかといった他のユーザーの状態を示すプレゼンス機能や、音声チャット機能、あるユーザーが使うパソコンのデスクトップ画面を複数ユーザーで共有する画面共有機能などを備える。UI(ユーザーインターフェース)を見ると、プレゼンス情報の表示や音声チャット用のボタンなどに限定していることが分かる。

仮想オフィスサービス「roundz」のUI。パソコン画面の右側に配置されている。パソコン作業中、ちょっと視線を移せば自然と目に入るデザインにしている。 各ユーザーのプレゼンス情報に加えて、マイクや画面共有のボタンが並ぶ(右)
仮想オフィスサービス「roundz」のUI。パソコン画面の右側に配置されている。パソコン作業中、ちょっと視線を移せば自然と目に入るデザインにしている。 各ユーザーのプレゼンス情報に加えて、マイクや画面共有のボタンが並ぶ(右)
(出所:ラウンズ)
[画像のクリックで拡大表示]

 シンプルなUIにすることで、ユーザーが資料作成などのパソコン作業を進めているときに、ちょっと視線を移せば自然と目に入るようにしている。パソコン作業の途中で「Aさんに確認したいことが出てきた」といった場合にも、すぐにUIにあるマイクアイコンを操作できるようにしている。ラウンズの合田翔吾社長は「roundz は会話にこだわった声のバーチャルオフィスだ。機能面でも話しかけやすさを担保することにこだわっている」とは説明する。

 プレゼンス機能については、米Google(グーグル)が提供するスケジュール管理ツール「Googleカレンダー」と連携したり、パソコンの利用状況を踏まえたりして、他のユーザーと話せる状況にあるかどうかを自動で表示させている。休憩や会議が終わる「相手に話しかけやすいタイミング」を示すようにしているという。「相手に今話しかけてもいいのだろうかと躊躇(ちゅうちょ)せずに済む」(合田社長)。

 オフィスでは相手の様子を見計らって話しかけることがあるが、テレワーク環境ではそれが難しくなる。そこでroundzではオンラインで簡単に、相手の様子を見計らうことができるようにしているわけだ。

 音声チャット機能については電話のように相手を呼び出してから通話するといった手間を省いている。あらかじめ通話用のキーがパソコンのキーボードで割り当てられていて、これを押せばすぐに通話できる。仮想的な部屋である「ルーム」に複数のユーザーがいる場合、キーを押して話すとルーム内のユーザーに声が聞こえる。合田社長は「パソコンの中にトランシーバーがある感じだ。操作面など物理的なハードルを下げることで、ユーザーが思い立ったとき、すぐに話しかけられるようにしている」と説明する。

 音声チャットはできても、あえてWebカメラを使った映像のやり取りはしないようにしていることも、roundzの特徴だ。ラウンズが独自に調査したところ、Web会議などをしているときには「Webカメラで自分の顔や部屋を映したくない」というユーザーが多くいることをつかんだからだ。

 Webカメラなしでコミュニケーションを取れるようにしたところ、プライバシーが気になる人や「カメラをONにしないと失礼になるのではないか」といったマナーを気にする人も気兼ねなく会話ができると好評だという。「実際に対面で会話するときも、相手の顔ではなく同じ資料などを見て会話をすることが多い。オンラインでカメラがなくても違和感は少ない」と合田社長は話す。