新型コロナウイルス感染症拡大で大きなダメージを受けた2020年の工作機械業界。回復が期待されていた市況がさらに落ち込み、2年に1度開催されてきた日本最大の国際工作機械見本市「JIMTOF」もオンライン開催となった。しかし、その陰で各社は着々とコロナ後を見据えた準備を進めている。
大型工作機械なども手掛けるオークマはこれまでオプション提供してきた自動化・知能化の機能を標準搭載し始めた。顧客が加工技術に注力し、これまで以上の超短納期で高精度・高品質の製品を納品できるようにするのが狙いだ。代表取締役社長の家城 淳氏に、コロナ禍でのビジネスの変化や今後の戦略を聞いた。(聞き手は吉田 勝=日経クロステック/日経ものづくり)
新型コロナウイルス感染症の流行が拡大する前から、他の工作機械メーカートップらと「不確実性の時代に入った」といった議論をしていました。特に2019年は、貿易問題が顕在化したり、これまでにない大規模な自然災害が起こったり、ここ十数年とは明らかに異なる不確実性の時代が始まったと感じました。
もともと19年に工作機械業界の受注は落ち込んでいました。そこにコロナ禍がとどめを刺すように襲いかかってきたのです。景気循環から考えると20年からV字ないしはU字回復するのではないかと期待していたのですが、実際は受注がガクッと落ちました。
ただ、中国市場の受注は20年2月か3月に底を打って、そこから回復してきています。19年の米中貿易問題の反動もありますが、国策による建設機械やインフラの需要喚起策が効いているようです。いずれも裾野の広い産業ですから、それに伴ってバルブや油圧機器など幅広い産業が活性化され、日本の工作機械も受注が増えています。
一方、日本国内の特に4月と5月は完全にビジネスが止まっていました。しかし、その停滞期が過ぎた6月、7月ごろからは徐々に受注が増えつつあります。それでもまだ半分ブレーキを踏みながらの様子見といったところです。欧米も回復は緩やかですが動き始めました。21年から本格回復するのではないかとみています。