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 新型コロナウイルス感染症拡大で大きなダメージを受けた2020年の工作機械業界。回復が期待されていた市況がさらに落ち込み、2年に1度開催されてきた日本最大の国際工作機械見本市「JIMTOF」もオンライン開催となった。しかし、その陰で各社は着々とコロナ後を見据えた準備を進めている。

 ヤマザキマザック(愛知県・大口町)は、最新機種にクラウドサービス「Mazak iCONNECT」を標準搭載するなど、デジタル対応とサポートの拡充を図っている。新型コロナで遠隔サポートの重要性が高まっている状況に対応する。コロナ禍でのビジネスの変化や今後の戦略をどう捉えているのか。開発担当の上席執行役員である堀部和也氏に聞いた。(聞き手は吉田 勝=日経クロステック/日経ものづくり)

 コロナ禍によって当社における開発テーマが変わってきました。1つは工作機械をネットにつなぐコネクテッドの重要性の高まり。もう1つが自動化やデジタル化で、顧客からの要望が実際に増えています。投資(工作機械の購入)そのものにはまだ慎重ですが、今のうちに検討は進めておきたいようです。

堀部 和也 ヤマザキマザック 上席執行役員商品開発本部副本部長兼FAソリューション事業部事業部長
堀部 和也 ヤマザキマザック 上席執行役員商品開発本部副本部長兼FAソリューション事業部事業部長
ほりべ かずや 1997年にヤマザキマザックに入社。米Mazak Corporationなどを経て、14年に技術本部技術商品企画室室長、15年に技術本部ソリューション開発部部長。18年に執行役員技術本部ソリューション事業部事業部長、20年から現職。(写真:上野英和)
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クラウド経由での手厚いサービスで差異化

 当社では今、コネクテッドサービスに力を入れています。具体的には2019年の春から始めた「Mazak iCONNECT」(以下、iCONNECT)です。工作機械の監視やサポートをインターネット経由で行うサービスで、オプション機能ですし、コストもかかるため導入の広がりはこれまでは緩やかでした。しかしコロナ禍で直接顧客と行き来できなくなり、重要性がさらに増しています。

(写真:上野英和)
(写真:上野英和)
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 工作機械という「もの」を売るという我々の基本ビジネスは変わりませんが、そこにソリューションという「こと」を付加していかなくてはなりません。今後、iCONNECTなどでつながって手厚いサポートを提供していくソリューション提供が拡大するのは間違いありません。

 その重要性を再認識したこともあり、最新型のNC装置「MAZATROL SmoothAi」の搭載機からはiCONNECTを標準機能として提供します。iCONNECTでは、当社のサポートセンターによる遠隔診断サービスを受けられる他、遠隔地から機械の状態を監視する機能も使えます。機械の状態を全て把握できるようなデータを取得しますので、かなり細かい状態まで分かります。どの作業者が機械の前にいるのかなども把握でき、従来の「見える化」よりもさらに踏み込んだ情報を得られるのです。

 コロナ禍の中、iCONNECTの機能として特に顧客に好評なのが、機械の操作やプログラミング、ソフトウエアの活用方法などを学べるeラーニングです。当社の「テクノロジーセンター」でやっていたプログラミング講習などを、項目ごとに動画に収めました。見たいときに見られ、分からないところだけ復習するといったオンラインならではの利点があります。コロナ禍で当社へトレーニングに来られなくなったため、そうした教材を広く活用してもらっています。