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 2020年は多くの企業で働き方が激変した年となった。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、社員が在宅勤務で社内のシステムにリモートアクセスできるようにした企業は多い。システム部門のITエンジニアが在宅勤務で開発できる態勢を整えた企業も少なくない。

 2021年はITインフラ技術のトレンドがどのように変化するのだろうか。日経クロステックは5人の有識者を招き「ITインフラテクノロジーAWARD 2021」を選出した。参加したのは野村総合研究所(NRI)の石田裕三産業ITグローバル事業推進部 上級アプリケーションエンジニア、ウルシステムズとアークウェイの2社の社長を務める漆原茂氏、国立情報学研究所の佐藤一郎 情報社会相関研究系 教授、Publickeyの新野淳一 編集長/Blogger in Chief、デロイト トーマツ コンサルティングの森正弥 執行役員だ。5人による審査会で議論した内容から、2021年に注目すべきITインフラ技術を示す。

有識者5人が最終候補に挙げた16の注目インフラ技術
有識者5人が最終候補に挙げた16の注目インフラ技術
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グランプリは「ゼロトラストネットワーク」

 有識者5人が第1位のグランプリとして選んだのは「ゼロトラストネットワーク」だ。「ユーザー企業に導入してほしい」という啓発の意味も込めて満場一致でグランプリとなった。

 「2021年のITインフラはゼロトラストネットワークが不可欠になる」――。こう話すのは漆原社長だ。ゼロトラストネットワークとは、接続元のネットワークやデバイスを問わず常にアクセスを精査し、適切に認証・認可をするセキュリティーモデルである。

 これまではインターネットと社内ネットワークの境界を防御して、外部からの攻撃に対応していた。いわゆる境界防御である。

 しかし境界防御には限界がある。境界を守るファイアウオールが突破されると、社内LANを通じてウイルスが一気に広がる。

 しかも2020年は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、多くの企業がこぞってテレワーク環境を導入した。そのために新たにVPNを導入したり、ネットワーク機器を増設したりした企業は多い。「VPNを導入したくないユーザー企業も仕方なく導入している」(漆原社長)という。

審査会の様子
審査会の様子
左から石田裕三氏(野村総合研究所 産業ITグローバル事業推進部 上級アプリケーションエンジニア)、漆原 茂氏(ウルシステムズ/アークウェイ 代表取締役社長)、佐藤一郎氏(国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授)、新野淳一氏(Publickey 編集長/Blogger in Chief)、森 正弥氏(デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員)(撮影:中野和志)
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