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【6月30日 Xinhua News】中国科学院院士(科学アカデミー会員)で中国科学技術大学教授の潘建偉(Pan Jianwei)氏と同僚の張強(Zhang Qiang)、陳騰雲(Chen Tengyun)両氏はこのほど、済南量子技術研究院の王向斌(Wang Xiangbin)、劉洋(Liu Yang)両氏らと協力し、野外長距離高性能単一光子干渉技術で飛躍的成果を上げた。2種類の技術プランを用い、それぞれ428キロと511キロのツインフィールド量子鍵配送(QKD)を実現し、野外における無中継光ファイバーQKD伝送距離の世界新記録を打ち立てた。中国科学技術大学が明らかにした。

「済青幹線」量子通信実験の概要図(資料写真)。
「済青幹線」量子通信実験の概要図(資料写真)。
(c)Xinhua News
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 量子の複製不可能性原理は、量子通信の安全性を理論上保証するが、量子通信は量子の特性から従来の光通信のように中継によって信号を増幅することができない。そのため、量子通信の光ファイバー伝送距離は信号の損失による制限を受ける。

 ツインフィールドQKDは一種の新技術で、長距離量子通信の実現に適している。ただ量子信号は非常に脆弱(ぜいじゃく)で、実際の応用シーンで音や振動、温度変化などの干渉を受けるほか、光ケーブルの熱による膨張収縮や同一ケーブル内の異なる光ファイバー間の信号クロストークなどにより、野外での通信が困難だった。

 潘氏のチームはこのほど、山東省(Shandong)の済南市(Jinan)と青島市(Qingdao)を結ぶ野外光ケーブル「済青幹線」で、王氏が発案した「送信・非送信」ツインフィールドQKDプロトコルを基に、時間周波数伝送技術とレーザー注入同期技術を開発。野外で数百キロ離れた二つの独立したレーザー装置の波長を同期させた。また、野外での複雑なリンク環境を念頭に、光ファイバーの長さと偏光の変化のリアルタイム補償システムを開発したほか、QKD光源の波長を入念に設計し、ナローバンドフィルターによってクロストークを発生させるノイズを取り除いた。

 潘氏らはまた、中国科学院上海マイクロシステム・情報技術研究所の尤立星(You Lixing)グループが開発した高計数率・低ノイズの単一光子検出器を用いることで、野外での無中継光ファイバーQKDの安全鍵生成距離を500キロ以上に拡大した。

 今回の研究成果は、野外光ファイバー無中継QKD距離の世界新記録を打ち立て、500キロを超える光ファイバーの鍵生成率により従来の無中継QKDでの生成率の限界を打破した。実際の環境でツインフィールドQKDの実行可能性を証明し、長距離光ファイバー量子ネットワーク実現への道を開いた。

 国際学術誌「フィジカル・レビュー・レターズ」と「ネイチャー・フォトニクス」はこのほど、今回の研究成果をそれぞれ発表した。

(c)Xinhua News/AFPBB News 【翻訳編集】AFPBB News