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2020年は新型コロナ禍のなか、企業に加えて政府でもDXの取り組みが進んだ。実装の担い手であるITエンジニアのスキルレベルや年収はどう変わったのか。「DXシフト」に応じた変化があり、同時にDXを阻む障壁も見えてきた。

 約8年ぶりの首相交代で就任した菅義偉新首相は2020年9月16日、就任後記者会見でデジタル庁を新設すると明言した。これまで政府は新型コロナ対策としてデジタル活用を進めたものの、人材不足や体制の不備もあって失敗を重ねた。その反省から行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に乗り出した格好だ。

 DXはAI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)といったデジタル技術を使って、ビジネスや業務の構造を組み替える試みだ。もともとディスラプター(破壊者)の脅威に対抗する方策として企業に広まりつつあったが、新型コロナ禍で企業の業績が悪化するなか、業績回復の切り札として本腰を入れる企業が増えている。

 調査会社のアイ・ティ・アールが2020年11月12日に公表した調査結果によれば、「DXのための何らかの組織体を有する企業」の割合は2019年から6ポイント増の67%に達した。同社は「DXを推進する専任部門が設置されている企業はコロナ禍に伴う厳しい経済情勢下にあっても積極的なIT投資を継続する見通しだ」としている。

 官民問わず行政でもDX熱が高まるなか、DXの実装を担うIT人材にとってスキルアップやスキル転換は喫緊の課題といえる。IT人材のスキルとキャリアを調査・研究するNPO法人「ITスキル研究フォーラム(iSRF)」は例年、ITエンジニアのスキルと意識を調べる「全国スキル調査」を実施している。2020年はIT企業のエンジニアや一般企業のシステム部門担当者などIT人材999人のスキルやDXへの取り組み状況を調べた。

 加えて、一般企業でDX推進や事業企画、組織・風土改革などを担当するビジネスパーソンを対象とした「DX意識と行動調査(以下DX調査)」も実施した。前年の調査ではDXの取り組みについて12項目を聞き、経営層・管理職と現場技術者との「ずれ」を浮き彫りにした。2020年調査は上記質問に加えて、DXの取り組みを阻害する問題点を明らかにする設問も盛り込んだ。有効回答数は175人だった。

 回答が多かった業種は、全国スキル調査がITサービス業(75.5%)と製造業(8.3%)と情報通信業(6.2%)、DX調査が製造業(34.3%)とITサービス業(24.6%)と情報通信業(10.3%)。早速結果を見ていこう。

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