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障壁にひるまず、果敢にDXを推進している人はどんな行動を取っているのだろうか。調査結果を分析すると、半数が全社方針を明確にする提案や施策を実行していた。DXをうまく進めるためにどの順でどう障壁を乗り越えるかの「必勝シナリオ」も見えてきた。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)実際に推進している人はどんなプロフィルなのか。ITエンジニア向け調査の「全国スキル調査2020(以下全国スキル調査)」(N=999)と、一般企業のDX推進担当者や事業企画担当者などを対象とした「DX意識と行動調査(以下DX調査)」(N=175)のそれぞれに対して、DXに関して提案活動をした経験が「ある人」と「ない人」の回答傾向を分析した。

 具体的には「DXを進めるための具体的な施策やアイディアを経営層や上司へ提案」の問いに、「全く行っていない」とした回答者と、それ以外(「常に行っている」「時々行っている」「たまに行っている」「過去に行ったことはある」)の回答者を比較した。以下、前者を「DX傍観者」、後者を「DX行動者」と呼ぶ。

院卒40代以上で管理職以上

 2者の割合は、全国スキル調査ではDX行動者が37%でDX傍観者が63%だった。一方のDX調査ではDX行動者が71%でDX傍観者が29%と、傾向が分かれた。エンジニアでDXを推進する割合はまだ高くない。

 DX行動者の年齢と学歴は、両調査ともに「40代以上」「大学院修士課程修了者」の割合がそれぞれ高い傾向だった。異なる傾向があったのはDX行動者が所属する企業・団体の規模だ。スキル調査では5000人以上の大企業の割合が高く、100~1000人規模の中堅企業の割合が小さかった。一方、DX調査では逆の傾向だった。

図 全国スキル調査とDX調査における「DX行動者」と「DX傍観者」の属性
図 全国スキル調査とDX調査における「DX行動者」と「DX傍観者」の属性
DX行動者は「修士課程修了」「40代以上」「管理職層以上」
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 この背景にはIT業界特有の事情がありそうだ。中小企業は多重下請け構造の2次請けなどに回らざるを得ず、ビジネスモデルやリソースに制約があるため、社員がDXを進める裁量が制限されている可能性が考えられる。

 DX行動者の所属部署は母集団の属性が反映され、全国スキル調査では「ITサービス・ITシステムの開発部門」「情報システム部門」の割合が高く、DX調査では「営業部門」「経営企画・企画部門」の割合が高かった。またDX行動者の役職は両調査とも管理職相当および経営層の割合が高い傾向にあった。一般企業ではDXが経営層や管理職の役割だと認知されているようだ。

 DX行動者とDX傍観者に会社での役割(ロール)や仕事観を問う設問についても比較した。役割については、DX行動者はビジネスデザイナーやプロダクトマネジャーの割合が高かった。エンジニア系の職種よりもビジネス系の職種の人材がDXを提案している実態が透けて見える。

図 全国スキル調査とDX調査における「DX行動者」と「DX傍観者」の意識
図 全国スキル調査とDX調査における「DX行動者」と「DX傍観者」の意識
DX行動者は仕事に前向き、ジョブ型のキャリアを志向
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 仕事のやりがいはDX行動者とDX傍観者で差があった。両調査ともDX行動者は「やりがいがある」「大いにやりがいがある」との回答が過半を占めたが、DX傍観者では5割に満たなかった。DXをやりがいのある仕事と捉えている人が多そうだ。