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 2050年ゼロエミを実現する上で、(1)再エネ、(2)蓄電池や水素などの電力貯蔵システムの2つと同様に重要な技術がある。それが(3)CO2の回収技術だ。

 仮に、電力と燃料などがすべて再エネやグリーン水素になっても、CO2の排出は残る。日常生活で利用する工業製品の多くから炭素や炭化水素材料を排除することはできないからだ。このため、CO2回収技術は欠かすことのできない必須技術なのである。

 この分野でも日本の企業は世界を牽引する位置にいる。例えば、三菱重工エンジニアリングは2016年に米国で現在世界最大級のCO2回収プラントを建設した注9)図15)。CO2を4700トン/日という規模で回収できる。

注9)ただし、このPetra Nova Carbon Capture Projectにおける設備は2020年5月に稼働を停止した。理由はコロナ禍による天然ガスの価格の暴落で、採算が取れなくなっているからである。再稼働は天然ガスの価格が安定してからになる。
(a)米国Petra Nova Carbon Capture Projectに導入された三菱重工エンジニアリングのCO<sub>2</sub>回収プラント
(a)米国Petra Nova Carbon Capture Projectに導入された三菱重工エンジニアリングのCO2回収プラント
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(b)福岡県大牟田市のバイオマス発電所に導入された東芝エネルギーシステムズのCO<sub>2</sub>回収プラント
(b)福岡県大牟田市のバイオマス発電所に導入された東芝エネルギーシステムズのCO2回収プラント
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(c)アミン系化学吸収式CO<sub>2</sub>分離回収プラントの概要
(c)アミン系化学吸収式CO2分離回収プラントの概要
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図15 世界最大のCO2分離回収システムは日本製
2016年に米国テキサス州ヒューストン郊外に建設された大規模CO2回収プラント(a)。システムは三菱重工エンジニアリング製で、約4700トン/日のCO2回収能力がある。2020年10月末にシグマパワー有明が運営するバイオマス向け三川発電所で2020年10月末に稼働した東芝エネルギーシステムズのCO2回収プラント(b)。CO2回収能力は500トン/日。いずれも、低温のアミン系溶液にCO2を吸収させ、再生棟で高温にして取り出す化学吸収式のシステムである(c)。(写真:(a)は三菱パワー、(b)(c)は東芝エネルギーシステムズ)

 これに続く勢いなのが東芝エネルギーシステムズで、2020年10月末に福岡県大牟田市のバイオマス発電所において500トン/日規模のCO2回収プラントを稼働させた。

 いずれも、アミノ基(NH2−)を持つ材料(アミン系材料)の溶液が低温ではCO2を吸収し、高温で放出する仕組みを利用して火力発電所の排ガスからCO2を分離、回収する。三菱重工エンジニアリングと東芝エネルギーシステムズのプラントは共に、取り込んだ排ガスのCO2のうち90%を回収でき、純度は99%以上である。