
新型コロナウイルスのパンデミックという予想外の危機を世界が襲った2020年が終わり、2021年が始まった。2020年末には感染が再拡大し、社会や経済に暗い影を落とした。だが、明けない夜は無い。技術の力を正しく使えば、2021年には希望の朝がやって来る。再生のフェーズに入る社会や経済を支えるテクノロジーは何か。スーパーシティやオンライン診療、量子コンピューター、AI(人工知能)、デジタルツイン、デジタルバンク、6G、スパコンなど、編集部が総力を挙げて、その候補を予測した。
新型コロナウイルスのパンデミックという予想外の危機を世界が襲った2020年が終わり、2021年が始まった。2020年末には感染が再拡大し、社会や経済に暗い影を落とした。だが、明けない夜は無い。技術の力を正しく使えば、2021年には希望の朝がやって来る。再生のフェーズに入る社会や経済を支えるテクノロジーは何か。スーパーシティやオンライン診療、量子コンピューター、AI(人工知能)、デジタルツイン、デジタルバンク、6G、スパコンなど、編集部が総力を挙げて、その候補を予測した。
出典:日経コンピュータ、2021年1月7日号 pp.24-43 「新春技術大予測2021 テクノロジーがもたらす夜明け」を改題
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AI(人工知能)やビッグデータを活用して地域の課題を解決できる都市を実現しようとする政府の「スーパーシティ構想」。2020年12月に公募が始まり、2021年春には全国で5カ所程度が選定される見通しだ。スーパーシティやそれを支える「都市OS」は、社会のデジタル変革(DX)の起爆剤になる。
2021年は在宅勤務をはじめとするテレワークを支援する技術「リモートワークテック」の普及がより一層進む。特にコミュニケーションを円滑にする製品やツールの活用の幅が広がる他、テレワーク環境に対応したセキュリティー対策の多様化が進む。
2020年は米アマゾン・ウェブ・サービスの「Amazon Braket」や米マイクロソフトの「Azure Quantum」といった、複数のメーカーが開発した量子コンピューターを利用できるクラウドプラットフォームの他、米IBMの量子コンピューター「IBM Q」のクラウド経由での利用が進んだ。すぐに使…
2021年は様々な「新型コロナ対策AI」が登場する。感染シミュレーションや接近を防ぐ「密」回避、治療薬候補の化合物の探索などの分野へのAI(人工知能)活用が急速に進む。
医師と患者にとってオンライン診療が身近になる──。2021年はその基盤整備が進む年となりそうだ。オンライン診療の初診に関する新しい実施ルールが定まり、オンライン診療を適用できる患者が増える可能性がある。2022年以降の診療報酬改定に向けてオンライン診療の有用性を示す症例の蓄積が進む他、遠隔診断を支…
IoT(インターネット・オブ・シングズ)やシミュレーションなどを用いて物理空間の環境を仮想空間上で再現する「デジタルツイン」。それを日本の国土に適用して都市開発や防災、観光などに役立てる取り組みが2021年に加速する。基盤の整備を進め、2022年度から行政や企業が本格的に活用できるようにする。日本…
公共交通機関など移動に関わるあらゆるサービスをITで組み合わせて利便性を高めるMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス、マース)。日本では2018年ごろから本格化したMaaSは2020年、新型コロナ禍で移動需要自体が減退し、停滞を余儀なくされた。需要の急回復が見込めぬ中、移動以外のサービスも取り…
2021年はスマートフォン経由で金融サービスを提供する「デジタルバンク」が日本にも続々登場する。デジタルバンクは欧州が先行するが、日本でもネット企業や地方銀行が開業を急いでいる。銀行を黒子として支えてきた勘定系システムのあり方も大きく変わることは間違いない。
2021年は老年学と金融研究を組み合わせた「金融ジェロントロジー」に基づいて開発された、AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)を活用した金融サービスが次々と登場しそうだ。金融ジェロントロジーとは、加齢に伴う課題を扱いより良い生き方を追求する老年学(ジェロントロジー)の知見を、資…
第5世代移動通信システム(5G)の日本での商用サービスは2020年春に始まったばかり。だが世界を見渡せば、その次の「第6世代移動通信システム(6G)」の研究開発が早くも活発になっている。通信技術はほぼ10年ごとに世代交代する。2021年、6Gの2030年代の実用化に向けた産・官・学を挙げての技術競…
2021年以降、従来よりもはるかにきびきび反応するゲームや映像配信、酔わずに没入できるVR(仮想現実)/AR(拡張現実)コンテンツなどが登場しそうだ。工場のスマート化なども一段と進む可能性がある。
2020年4月に、1年前倒しで運用が始まった理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」。新型コロナウイルス関連の研究課題を募集し、同年7月には京都大学の研究チームが治療薬の候補物質を発見するなど早速成果を上げている。2021年4月からは全国の研究者が富岳を活用できる予定で、活躍の場を広げそうだ。
「マイクロサービスをうまく動かすにはサービスメッシュというインフラが必要になる」。こう語るのは日本IBM クラウド&コグニティブ・ソフトウェア事業部 ハイブリッドクラウドCTOの高良真穂氏。マイクロサービスの次の展開として、2021年はサービスメッシュに注目が集まりそうだ。
卒業した大学名は明かさずに卒業した事実だけを証明する、住所を明かさずに都内在住だと証明する──。そんなID(識別子)の管理が近い将来に実現する。個人が利用しているサービスに依存しないID技術で、自分の情報を必要な範囲で提示できる「分散型ID(Decentralized Identifier、DID…
2021年には脳情報の活用がより身近な物になる。脳と機械をつなぎ、脳の情報を読み取ったり、逆に脳に情報を送り込んだりする技術、BMI(ブレーン・マシン・インターフェース)の発展がその背景にある。