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 2020年4月に、1年前倒しで運用が始まった理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」。新型コロナウイルス関連の研究課題を募集し、同年7月には京都大学の研究チームが治療薬の候補物質を発見するなど早速成果を上げている。2021年4月からは全国の研究者が富岳を活用できる予定で、活躍の場を広げそうだ。

 富岳は世界初のエクサスケールマシン(1秒間に10の18乗回の浮動小数点演算が可能なマシン)で、実行性能では先代スパコン「京」の100倍を達成した。2020年6月にはスパコンの性能を測るベンチマークであるTOP500、HPCG、HPL-AI、Graph500の4部門で世界初の4冠を達成した。

図 富岳が世界一になった4種類のスパコンベンチマーク
図 富岳が世界一になった4種類のスパコンベンチマーク
富岳は世界初の4冠をマークした(写真:菅野勝男)
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 このうち2020年6月が初めてのベンチマークだったHPL-AIは、従来の倍精度(64ビット)の計算を用いるベンチマークとは異なり、単精度(32ビット)や半精度(16ビット)の計算も用いる。ディープラーニングなどAIの処理ではこれらの低精度計算を用いることから、HPL-AIはAI処理の性能を評価する指標となっている。

 日本では国立大学や国立研究開発機関などが保有するスパコンの計算資源は「High Performance Computing Infrastructure(HPCI)」として、大学や研究機関、企業に所属する研究者に提供されている。富岳も2021年4月からHPCIとして供用が始まる予定だ。