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 残された「ラスボス」級のCOBOL資産が巨大過ぎるため、投資利益率(ROI)の観点からCOBOL資産をそのまま維持する企業もある。そうした場合、COBOL資産を維持しつつデジタルトランスフォーメーション(DX)も推進していく必要がある。

 まさにこの状況にあるのがかんぽ生命保険だ。同社は2017年にNEC製のメインフレーム上で稼働するCOBOLシステムを日本IBM製のメインフレームに全面刷新し、約800万ステップに及ぶ巨大なCOBOLアプリケーションを維持しながら、DXを推進している。

かんぽ生命保険のシステム部門やシステム子会社が入居するビル(東京・品川)
かんぽ生命保険のシステム部門やシステム子会社が入居するビル(東京・品川)
(撮影:日経クロステック)
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SoRとSoEの領域をAPIで分ける

 かんぽ生命は2019年4月、契約者がWebブラウザー上で保険内容を確認したり住所を変更したりできるWebアプリケーション「マイページ」をリリースした。マイページの構築にはメインフレームに格納されたデータを使う必要があった。

 ただCOBOLアプリケーションをその都度改修すると、マイページの開発スピードが遅れてしまう。COBOLアプリケーションは確実性を重視するため伝統的にウオーターフォール型で開発を進めてきており、改修には半年~1年といった期間が必要になってしまうためだ。

 そこでかんぽ生命はCOBOLアプリケーションにAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を用意することにした。COBOLシステムにはできる限り手を加えず、DX向けシステムがAPIを経由してCOBOLシステムのデータを利用できるようにしたのだ。

 「COBOL資産は大切に維持するが、DX案件の足かせになってはいけない」。かんぽ生命の酒井則行システム企画部執行役員はAPIを実装した理由をこう説明する。APIを実装することで、同社は顧客との接点を担い変化の激しいSoE(Systems of Engagement)領域のWebアプリケーションにアジャイル開発を適用しつつ、保険業務を管理するSoR(Systems of Record)領域のCOBOLアプリケーションをウオーターフォール型で構築・改修できるようにしたわけだ。