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 APIを実装するため、かんぽ生命はまず米IBMのクラウドサービスを使い、DX向けアプリケーションで必要なメインフレーム上のデータをクラウドのコンテナから利用する仕組みを構築。コンテナにAPIを実装して、DX向けアプリケーションがAPI経由で必要なデータを取得できるようにした。

 例えばマイページを使って契約者が住所を変更する際の流れはこうだ。まずマイページのWebアプリケーションがAPIを経由して契約者の変更前の住所データを取得する。次に契約者が画面上で住所を変更したら、Webアプリケーションがメインフレームに変更要求を出す。そしてメインフレーム上のマスターデータを更新する。

API構築に2つの課題

 かんぽ生命は使い勝手を重視してAPIをHTTPベースの「RESTfulなAPI」として実装した。酒井執行役員は「認証や保険契約の照会といった基本的な処理はAPIで完結する。2021年4月には約100種類のAPIが利用できる見込み」と説明する。

 APIの実装においてかんぽ生命は2つの課題に直面しているという。「粒度設計」と「カタログ作成」だ。

 APIの数が増えると同じ機能を複数のAPIに実装することがある。例えば契約者が自身の契約内容を照会する機能を作るには、保障内容や住所などのデータを一度に取得できたほうが使い勝手は良い。通信負荷も減らせる。一方、住所を変更するだけの機能ならば保障内容を取得する必要はない。

 こうした場合、保障内容と住所を一括して取得できるAPIを構築するのか、それとも2つのAPIに分けるのかを考慮しなければならない。現在、実装済みのAPIは「単純な処理」を実行するものとして開発している。「今後、APIの数を増やすなかで粒度設計は大きな課題になる」(酒井執行役員)。

 APIを利用する際の仕様書やAPIでやり取りするデータを分かりやすく説明する文書の作成も課題だ。現在のAPIは利用者をかんぽ生命内に限定している。今後は「グループ企業など外部に公開できないかを検討中」(酒井執行役員)という。

 APIを外部に公開するにはセキュリティー対策の強化とともに、APIの利用を促す分かりやすい仕様書も必要となる。今の仕様書はかんぽ生命の各種業務やシステムに詳しいエンジニア向けであるため、一般的な分かりやすさには欠ける面があるという。「多くの開発者が手軽に利用できるような仕様書を目指す」と酒井執行役員は話す。