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 首都圏1都3県を対象とする緊急事態宣言の発令を受け、製造業各社は感染対策を強化しつつ研究開発業務を止めないように工夫を凝らしている。在宅勤務の徹底やサテライトオフィスの活用、公共交通機関以外での通勤といった各社の取り組みを追った。

 政府は2021年1月7日、東京や神奈川、埼玉、千葉の1都3県を対象に緊急事態宣言を発令した。期間は同月8日~2月7日。企業には、前回の緊急事態宣言と同じように出勤を7割削減し、3割程度にすることを要請している。

 各社は既に在宅勤務などで出勤率を抑えてきたが、今回の緊急事態宣言を受けて対策を強化する動きが出てきた。多いのは、在宅勤務の拡大による一層の出勤抑制だ。

日立製作所社員の在宅勤務の様子(川崎市)。同社は緊急事態宣言対象地域の事業所の出勤率を15%以下に抑えることを目指す。従来は30%程度で推移していた。(出所:同社)
日立製作所社員の在宅勤務の様子(川崎市)。同社は緊急事態宣言対象地域の事業所の出勤率を15%以下に抑えることを目指す。従来は30%程度で推移していた。(出所:同社)

教訓や設備を生かして在宅勤務を強化

 東芝はこれまで国内の全事業所(工場を含む)で出勤率50%を「目安」としていたが、「必達」に格上げした。ただし、出勤率を抑えても研究開発への影響はほとんどないという。「出勤がどうしても必要な研究開発とそうでないもののバランスを取ることで、出勤率を抑えつつ成果に支障がないように運用できている」(同社)。同社は前回(20年4~5月)の緊急事態宣言時に休日前倒しなどの思い切った対応を取っており、先行して在宅勤務などに取り組んできた産物であることを強調する。

 ホンダも在宅勤務の対象を拡大して出勤を抑える。本社(東京・港)はこれまで出勤率を50%に抑えていたが、緊急事態宣言期間中は在宅勤務を原則とする。

 さらに東京・埼玉地区の研究開発拠点や事業所、埼玉製作所の間接部門についても同様に在宅勤務を原則とする。在宅での研究開発業務については、設備やツールの整備が進んでおり、大きな影響はないという。「前回の対応に基づいてスムーズに対応を検討できた。教訓や設備を生かして在宅勤務を強化する」(同社)。

 トヨタ自動車グループのソフトウエア関連会社ウーブン・プラネット・ホールディングス(旧TRI-AD)は、本社(東京・中央)勤務の約700人について在宅勤務を基本とする方針を打ち出した。緊急事態宣言以前も出勤率は30%未満と政府要請の水準を満たしていたが、さらに徹底する。

 研究開発業務については、新型コロナウイルスの流行前から在宅勤務しやすい環境を整えており、大きな支障はないという。ただし「バーチャル環境のシミュレーションだけでは遂行できない業務も一部にある」(同社)。

 日野自動車は、本社(東京都日野市)中心に間接部門約6500人の出勤率を2割に抑える。従来の出勤率は4割だった。研究開発業務への影響は現時点ではないという。