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 夜間休止後にカッターを回転できず、復旧作業が必要になった泥土圧式シールド機。復旧作業の過程でシールド機が地山の土砂を過剰に取り込んでいたとして、施工していた鹿島・前田建設工業・三井住友建設・鉄建建設・西武建設JVはその異常に気付けなかったのだろうか。

 「今の段階では何とも申し上げられない。もし、過剰に取り込んでいるのが明らかであれば、何らかの対応を取っていたはずだ。施工上、難しい条件がそろっていたのは事実」。日経クロステックの取材に対して、東日本高速道路会社関東支社の加藤健治建設事業部長はこう述べるにとどめた。

地表から約47m下を掘進していた外環南行き本線トンネル。2020年11月21日に空洞が見つかった地点の直下付近(写真:東日本高速道路会社)
地表から約47m下を掘進していた外環南行き本線トンネル。2020年11月21日に空洞が見つかった地点の直下付近(写真:東日本高速道路会社)
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 シールドトンネルの施工において、シールド機が取り込んだ土砂の体積である「排土量」の管理は極めて重要といえる。トンネル掘削断面体積よりも排土量が大きければ、シールド機が土砂を過剰に取り込んだ可能性が高く、地山の緩みや地表の陥没などに直結しやすいからだ。

 とはいえ、排土量の算定は容易ではない。シールド機で掘削する前の締め固まった地山と、シールド機のカッターで掘削した後とで、土砂の状態が大きく異なるからだ。「何を計測して、どのように補正するか。正しい排土量を推定するための手法には、各社のノウハウが詰まっている」。シールドトンネルの施工に詳しいある建設会社の技術者はこう話す。

 鹿島JVは排土量を以下の方法で計算していた。

 まず、事前に実施したボーリング調査の結果を基に、地山の単位体積質量を定める。シールド機が東久留米層の掘進に入った直後の1870リングから2400リングまでは1m3当たり2tに設定。2401リングから2620リングまでは2tから2.22tへと徐々に増やし、2621リング以降は陥没地点直下の2766リングを含めて2.22tとした。

 次に、実際の掘削土の質量を計測する。計測にはシールド機から発進たて坑まで掘削土を搬出するベルトコンベヤーに取り付けた「ベルトスケール」を使った。質量を単位体積質量で割れば、排土量の体積が分かる仕組みだ。

 鹿島JVはこうしてはじいた排土量の体積を幅1.6mの1リングごとに管理していた。直前20リング分の掘進実績の平均値を基に、トンネル掘削断面体積の±10%を1次管理値、±20%を2次管理値と規定。計算した排土量が管理値を超えないよう確かめながら掘進した。

シールド機の掘進データ。2600リング付近から排土量の多い箇所が見られるものの、全区間を通しておおむね1次管理値の範囲内に収まっていた(資料:東日本高速道路会社)
シールド機の掘進データ。2600リング付近から排土量の多い箇所が見られるものの、全区間を通しておおむね1次管理値の範囲内に収まっていた(資料:東日本高速道路会社)
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 だが、この排土量の管理には3つの死角があった。