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 製造現場はアフターコロナに向けた変革期を迎えている。人手不足や熟練技能者減少の深刻さが増している上に、新型コロナ対策で三密回避やリモートワークを強いられ、移動制限で外注先や顧客との交流が難しくなるなど「新しい働き方」を求められている。また温暖化ガス削減の新規制対応や脱炭素を目指す新技術の導入も急務だ。

 工作機械各社は顧客のこうした課題にどう応えようとしているのか。各社のトップに話を聞くシリーズ、DMG森精機 取締役社長の森雅彦氏に話を聞いた。

もり・まさひこ:1985年京大工学部卒、伊藤忠商事に入社して繊維機械の営業を経験したのち、93年森精機製作所(現・DMG森精機)に入社。94年取締役。常務取締役・専務取締役を経て99年、代表取締役社長就任。2001年から日本工作機械工業会副会長。08年から京都大学経営協議会の学外委員。03年に東京大学で博士号を取得。1961年生まれ、奈良県出身。(撮影:加藤康)
もり・まさひこ:1985年京大工学部卒、伊藤忠商事に入社して繊維機械の営業を経験したのち、93年森精機製作所(現・DMG森精機)に入社。94年取締役。常務取締役・専務取締役を経て99年、代表取締役社長就任。2001年から日本工作機械工業会副会長。08年から京都大学経営協議会の学外委員。03年に東京大学で博士号を取得。1961年生まれ、奈良県出身。(撮影:加藤康)
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 2018から19年にかけて米中貿易摩擦が激化した影響もあり、工作機械の需要はその頃からダラダラ落ちてきていました。さらに20年に入って需要減が深刻化していたところに、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の問題が追い打ちをかけました。

21年は回復を確信、短納期対応の整備急ぐ

 しかし、20年度第2四半期(20年4~6月)を底にして受注は回復してきています。私自身も最近、欧州各国の現地の様子を見て、21年はさらに受注状況が好転すると確信しました。

 ですから、受注を売り上げへとなるべく早く結びつける短納期対応が必須となっています。そのため、自社工場では同時5軸、複合加工および自動化も進めています。

 例えば自動化については、単にロボットをやみくもに取り入れて「速く加工する」のではありません。どの程度をロボットに任せれば会社の利益を最大にできるのか、段取りをどう工夫すれば生産性が高まるかなどを考えながら取り組んでいる点が特色だと自負しています。

 当社では受注した自動化設備を自社工場でいったん立ち上げて調整しておき、顧客の工場に納入して設置すればすぐに使える「ターンキーソリューション」として提供しています。顧客がほぼ垂直立ち上げで稼働を始められる利点があるからです。当社工場での立ち上げ調整の際には、顧客工場のオペレーター(作業者)に来ていただき、トレーニングも実施します。顧客の工場に設置してから調整やトレーニングを実施する従来と比較すると、3カ月から半年は早く立ち上げができます。こうしたやり方を進めて短納期対応につなげていきます。