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 プリント回路基板(PCB)を手掛けるOKIサーキットテクノロジー(山形県鶴岡市、写真)は2020年度から工場の完全自動化プロジェクトを本格的に開始した。自動化プロジェクトを立ち上げて専任者を張り付け、年間1億円の予算を割り当てた。3年間の予定で、約480時間の工数(1日8時間稼働として60人日相当、全体の約20%に相当)を削減する計画で活動を開始。自動化のテーマを100件程度リストアップし、順次取り組んでいる。

写真 OKIサーキットテクノロジー
写真 OKIサーキットテクノロジー
山形県鶴岡市の本社工場で2020年度から工場の完全自動化プロジェクトを本格的に開始した。(出所: OKIサーキットテクノロジー )
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取り組み 1
2次元バーコードをレーザーで自動マーキング

 OKIサーキットテクノロジーの工場自動化プロジェクトではレトロフィットIoT以外にも様々な取り組みが並行して走っている。その1つが各層の基材にレーザーマーカーで2次元バーコードを印字する取り組みだ(図A)。現在、基材に付けて搬送している紙のロットカードで作業者へ伝えている情報を、2次元バーコードに格納し、最終的にはロットカードを廃止する狙い。各工程の設備がデジタル化されてネットワークにつながる22年には各設備はこれから処理するワークのバーコードを読み、設備自ら設定値を変更するようになる。この結果、段取り替え時の設備の設定値変更を完全に自動化できる。

図A レーザーマーカーによる印字設備
図A レーザーマーカーによる印字設備
(a)左写真の手前から基材を投入、奥から搬出する。搬出時にロットカード(作業伝票)を基材に重ねる。(b)はレーザーで刻印したバーコードと番号。装置の設定値などの情報を書き込む。設備が読み込む他、作業者がタブレットなどで内容を読める。(c)は従来使っていた手動刻印機。手動で番号を合わせて、ヘッドを基材に押し付けて刻印する。1日3000枚を人手で実行していた。〔出所:(a)(c)日経ものづくり、(b)OKIサーキットテクノロジー〕
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 従来は刻印作業に手動刻印機を使っていた。数字の形の突起を持つナンバリングヘッドを手で操作して番号を合わせ、基材に押し付けて凹凸を転写する。従来は番号しか刻印できなかったため、ロットカードを付ける必要があったが、2次元バーコードは格納できる情報量が格段に増えるため、ロットカードの情報を全部入れられる。

 レーザーマーカーは、出力の大きなレーザーを備えたものにした。エッチング工程を通過しても消えないようにするため、深く掘りつける必要があるためだ。バーコードを印字する位置は最後に切り落とす余白の部分であり、エッチングでパターンを造り込む部位とは異なるが「どうしても工程の影響を受ける」(OKIサーキットテクノロジー)という。後工程で十分読めるようなバーコードをどうすれば印字できるかの実験に時間をかけて、実現した。

 基材への刻印は1日3000枚程度実行する必要がある。刻印作業の自動化による、直接的な省人化効果も得られた。設備への投入と取り出しも多関節ロボットで自動化した。ただし、投入位置へ基材を積んだ台車を入れる作業、搬出位置から台車を出す作業は人手をまだ要しているため、無人搬送車の導入を検討しており、実験を開始した。