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 新型コロナウイルスの感染拡大により、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資はどのような影響を受けているのだろうか――。この疑問を解消すべく、日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは2020年7~8月にかけて独自調査「デジタル化実態調査2020年版(DXサーベイ2020年版)」を実施した(有効回答数は865社、調査概要は文末を参照)。

 本調査で、「新型コロナウイルスの影響を受けて、貴社のDX投資の予算方針に、直近でどのような変化がありそう・ありましたか」と尋ねた結果、「変わらない」(42.0%)が最も多かった(図1)。ここでのDX投資とは、「ITシステム関連投資を含めたデジタル変革を推進するための投資」とした。

図1 DX投資の予算方針
図1 DX投資の予算方針
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 2番目に多かったのが「どちらかといえば増額」(25.1%)だ。「大幅な増額」は3.2%である。

 「DX投資を減らす予定はない」とする企業が7割以上を占めた格好だ。ニューノーマル(新常態)の時代に備えて、DX投資を重視している企業が比較的多いことを示している。

DX投資を「減額」する割合が多い製造業

 回答企業の全体的な結果は分かった。同業他社のDX投資に関する予算方針も気になるところだろう。業種別に見たDX投資の予算方針の結果は図2の通りである。

図2 DX投資の予算方針(業種別)
図2 DX投資の予算方針(業種別)
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 製造業については、全体と同じような傾向で、「変わらない」が44.9%で最も多い。製造業では増額(「大幅な増額」と「どちらかといえば増額」の合計)の割合は21.8%で、全体の28.3%よりも小さい。

 一方、製造業については、他の業種に比べて、DX投資を減額する会社の割合が多い。製造業の減額(「どちらかといえば減額」と「大幅な減額」の合計)の割合は21.4%。これに対し、全体の減額(「どちらかといえば減額」と「大幅な減額」の合計)は15.6%である。

DX投資意欲が比較的高い建設や流通、金融

 製造業に次いで回答企業数の多い流通・物流・運輸業はどうか。「増額」が3割以上、「変わらない」が4割以上でDX投資への意欲は高い。「減額」の割合は1割強にとどまる。

 ただし、「全く分からない」の割合が14.5%で、他の業種に比べて最も多い。Withコロナ時代になり、業績が最も不透明なのは流通・物流・運輸業なのかもしれない。

 製造業とは逆に、DX投資を減らす企業が少ない業種が建設・不動産業である。「減額」の割合は6%弱で、他の業種に比べて最も小さい。

 一方、建設・不動産業の「増額」の割合は33.8%で、他の業種に比べて最も大きかった。2番目に増額の割合が大きいのが33.3%の金融業である。

 金融業はDX投資を「減額」する割合が7.7%である。これは建設・不動産業に次いで2番目に低い。