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 デジタルトランスフォーメーション(DX)は経営強化を図るための手段であって、目的ではない。いずれの企業も、新型コロナウイルス感染拡大による経営課題を明確にしたうえで、それらを解決するのに適したテクノロジーを活用しながら、変革を進めることが求められる。

 企業はニューノーマル(新常態)への対応が急務である――。最近、こう指摘されることが多い。もっともらしいメッセージだが、ニューノーマルの具体像が不明確なままでは、どこから手をつけていいか分からず、何も前に進まない。

 Withコロナ時代に生き残るため、企業が優先して取り組むべき課題は何なのか。ニューノーマル対応の具体策を明確にするため、日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは独自調査「デジタル化実態調査2020年版」によって、新型コロナウイルス感染症拡大による経営課題と取り組み状況を分析した。

 本調査では、「新型コロナウイルスの影響による『企業の新しい行動様式』において、貴社の取り組みは今後どのように変化すると考えているか」と尋ねた。ここでは、ニューノーマルの具体像として、以下の9項目を「企業の新しい行動様式」と定めた。

 (1)3密を避けたリアルでの販売・購買・サービスの実現、(2)オンライン商談・サービス(非対面接客・営業)の実現、(3)サプライチェーンの再編(調達先/生産拠点/販売先等の代替の検討・実施)、(4)テレワークの実現、(5)時差出勤・フレックスタイム制の導入、(6)オフィス/生産・物流拠点における検温の実施、(7)リアルイベント(セミナーや研修など)のオンライン化、(8)在宅勤務に伴う不正リスクへの対応強化、(9)ジョブ型雇用の本格導入、である。

 9項目それぞれについて、「取り組んでおり、定着する」「取り組んでおり、一部は定着する」「取り組んでいるが、元の姿に戻る(2019年の姿に近づく)」「取り組んでいない」の4つの中から1つだけを選択してもらった。その回答結果(有効回答数は865社)を、「新型コロナウイルスの影響による『企業の新しい行動様式』(9項目)に関する取り組み状況と今後の見通し」として図1に示した。ここから、ニューノーマル9項目の対応状況をグラフの順に見ていこう。

図1 新型コロナウイルスの影響による「企業の新しい行動様式」(9項目)に関する取り組み状況と今後の見通し
図1 新型コロナウイルスの影響による「企業の新しい行動様式」(9項目)に関する取り組み状況と今後の見通し
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オンライン商談・サービス、「定着する」が6割以上

 「3密を避けたリアルでの販売・購買・サービスの実現」については、「取り組んでいる」(「取り組んでおり、定着する」と「取り組んでおり、一部は定着する」「取り組んでいるが、元の姿に戻る」の合計)が8割弱を占めた。全体で最も多かったのは、「取り組んでおり、一部は定着する」(45.5%)である。2番目に多いのが「取り組んでいない」(22.2%)だ。

 「オンライン商談・サービス(非対面接客・営業)の実現」で目を引くのは、「定着する」(「取り組んでおり、定着する」と「取り組んでおり、一部は定着する」の合計)が64.1%に達し、9項目の中で最多だった点だ。「取り組んでおり、定着する」(15.4%)と「取り組んでおり、一部は定着する」(48.7%)である。一方、最も少なかったのは、「取り組んでいるが、元の姿に戻る(2019年の姿に近づく)」(14.5%)である。

 「サプライチェーンの再編(調達先/生産拠点/販売先等の代替の検討・実施)」については、「取り組んでいない」が約6割を占めた。他の項目に比べて、「取り組んでいない」との回答比率が目立って高い。

 この項目に大きく関係しそうな製造業についても、「取り組んでいない」(51.6%)が最も多かった。これまでも日本の製造業はサプライチェーンの最適化に取り組んできた。少なくとも調査時点では、コロナ危機によるサプライチェーン再編の必要性はあまり高くないことが分かった。