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 政府が2度目の緊急事態宣言を発令するなど、新型コロナウイルス禍はいまだ収束の兆しが見えない。企業は事業環境の急変に対応しながら、デジタルトランスフォーメーション(DX)をどう進めるべきか。日経BP総合研究所イノベーションICTラボが2020年11月26日に開催した「ITイノベーターズサミット」での変革リーダーの言葉から、ウィズコロナ時代のDXとの向き合い方を探った。

 「コロナ禍で社員の意識はがらりと変わった。もしかしたら5年もたないかもしれないという強い危機感が社内に生まれ、変革を進める部署としては追い風になっている」。出光興産の三枝幸夫執行役員デジタル変革室長はこう明かす。三枝氏の言葉に象徴されるように、変革リーダーの発言で目立ったのが、コロナ禍で生まれた社内の強烈な危機感をDXの原動力に変えようとする姿勢だ。

出光興産の三枝幸夫執行役員デジタル変革室長
出光興産の三枝幸夫執行役員デジタル変革室長
(撮影:井上 裕康、以下同)
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資生堂はグローバル基幹系システムの構築に挑む

 コロナ禍で人の移動が滞り、成長をけん引したインバウンド(訪日外国人)需要が激減した化粧品業界。国内最大手の資生堂も大きな影響を受け、2020年1~9月期の連結業績は、売上高が前年同期比22.8%減の6536億円、営業利益は同91.4%減の89億円と業績に急ブレーキがかかった。

 資生堂はこうした厳しい事業環境のなかでもDXを加速させている。仏ロレアルや米エスティ・ローダーといった世界の大手競合と伍(ご)していくためには、DXの推進は避けて通れないと判断。資生堂の取り組みの代表例が、グローバル標準となる基幹系システムの構築である。

 業務プロセスや業務ルールなどを世界で標準化し、独SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「SAP S/4HANA」を活用して世界標準システムを作る。世界中の経営・業務データを迅速に共有し、意思決定のスピードを引き上げる。

 資生堂はS/4HANA導入を含むビジネス変革プロジェクトを推進するため、ITだけでなく、経理や各事業部門など全世界から集めた人材から成る専属部隊を組織している。資生堂でチーフインフォメーションテクノロジーオフィサーを務める高野篤典エグゼクティブオフィサーは「今の危機にしっかりと打ち勝ち、2023年に完全復活を目指す」と力を込める。

資生堂でチーフインフォメーションテクノロジーオフィサーを務める高野篤典エグゼクティブオフィサーはオンラインで登壇
資生堂でチーフインフォメーションテクノロジーオフィサーを務める高野篤典エグゼクティブオフィサーはオンラインで登壇
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