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 昨今、日本でも開始された次世代の通信規格「5G」は単に通信速度が高速化されただけではありません。遅延が起きにくく、かつ、多数の機器を同時に接続できるようになります。そのため、IoTがより一段と進むことが期待されています。

 人とモノをつなぐ技術も整いつつあります。ネットワークを、物理的な限界を超えて劇的に加速し、強化する。それがデジタル化の本質と言えます。

 ツイッターやフェイスブックをはじめとするSNSは、人間社会のネットワークをデジタル上で再現したからこそ、あっという間にスケールし、世界中に普及しました。人間関係を可視化し、デジタル上に再構築したわけです。

 しかし、そんなSNSにも限界は当然あります。SNSを利用している人は、自分がつながっている人を思い返してみてください。そこに両親や子どもたち、家族はいるでしょうか。あるいは、自分の人間関係をすべて反映していると言えるでしょうか。

 SNSはあくまでサイバー上でネットワークが完結するもの。現実の情報が足りておらず、不自然なネットワークになってしまいます。身の回りにあるモノや環境といったフィジカル(現実世界)の情報をつなぐことで、ネットワークはより自然な形になるのです。

 私たちの身の回りの情報のうち、サイバー上にある情報はごくわずかです。それは、サイバーの世界につながるためにはパソコンやスマートフォンといった端末が必要だったからです。ところが、IoTの本格普及によって、これからあらゆるフィジカルのモノがインターネットにつながる時代がやってきます。そうなれば、現在とは比べものにならないほど多くの現実世界の情報がサイバーの世界に流入し、ネットワークを形作るでしょう。

 あらゆるフィジカルのモノがサイバーの世界とつながる、サイバーフィジカルの世界になったときに日本企業はどう戦っていけばいいのでしょうか。

すべての企業が直面する「DX」の進め方

 まず、日本企業の強みを振り返ってみましょう。日本企業はこれまで、既に世の中にあるものを「カイゼン」して売ることを得意としてきました。製品やサービスの良いところを踏襲して「失敗を減らす」ことで、大きな成功を収めました。その結果、日本には世界でも最高峰と言えるものづくりの技術がたくさん蓄積されています。

 ところが、デジタルテクノロジーによって世の中が大きく変わると、そんな日本のお家芸とも言えるモデルは通用しなくなってきました。一つの技術を極限まで磨き抜いて高品質な製品を量産する日本のやり方は、時代の変化のスピードに間に合わないのです。

 ではものづくり日本の技術は、捨てるしかないのか。そうではありません。これから日本の高い技術や蓄積された経験は再び強みとなる時代が来ます。ただし、以前と同じやり方ではダメです。デジタル技術やインターネットを組み合わせた、新しいビジネスモデルを構築することが必要になります。それが、日本企業にとっての「DX」となるのです。