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 GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)の4社の時価総額は計り知れない規模に達している。彼らがここまで大きく成長できた背景にあるのは、やはり「スケールフリーネットワーク」の力だ。

 東芝執行役上席常務・最高デジタル責任者で、東芝デジタルソリューションズ取締役社長を務める島田太郎氏とフューチャリストの尾原和啓氏による連載「スケールフリーネットワーク」の第3回では、グーグルがどのようにスケールフリーネットワークによって規模を拡大してきたのかを見ていく。

※1月発売の『スケールフリーネットワーク ~ものづくり日本だからできるDX~』から一部を抜粋して連載します。書籍の内容とは一部、異なりますことをご了承ください

 第2回では20世紀後半、スケールフリーネットワークが米ノートルダム大学(当時)のアルバート=ラズロ・バラバシ教授らによって発見されたところまで解説しました。今回はこのスケールフリーネットワークについてより詳しく見ていきます。

 スケールフリーネットワークの特徴は、ランダムネットワークと比べるとよく分かります。バラバシ教授は、スケールフリーネットワークについて記した著書『新ネットワーク思考 ~世界のしくみを読み解く~』(HK出版)で、2つのネットワークの違いを交通網に例えています。

 ランダムネットワークの構造は、いわば都市と高速道路のネットワーク。各都市にはほぼ同数の高速道路がつながっており、そこにはほかの都市の何十倍、何百倍のつながりを持つ都市は存在しません。

 それに対し、スケールフリーネットワークは航空網に似ています。つまり、多数の小さな空港が、少数の巨大ハブ空港によって接続されている構造です。そして多数の路線が集まるハブ空港は利便性が高いので、さらに多くの路線を集めるようになります。こうしてスケールフリーネットワークは、成長すればするほど巨大な格差が生まれていきます。

 バラバシ教授は交通網の例でスケールフリーネットワークの特徴を説明しましたが、ほかにも私たちの世界には至るところにスケールフリーネットワークがあることが分かっています。

 分かりやすいのは人間関係でしょう。同じ映画で共演した俳優のつながりをネットワークとして見ると、その構造はスケールフリーネットワークになっています。

 つまり、ほとんどの俳優は数人の俳優としか共演していませんが、ごく一部の「ハブ」俳優が膨大な数の俳優と共演しているケースがあります。これは、論文を共同執筆した学者の関係にも見られる傾向です。スケールフリーネットワークの構造が見つかるのはこうした人間関係だけではありません。ルーターや光ファイバーによるインターネットの物理的なネットワークもそのひとつと言えます。

 さらに、細胞の代謝やたんぱく質の相互作用といった生物界にも同様のネットワーク構造が見られるといいます。スケールフリーネットワークというのは、人間を含む自然界に幅広く存在する普遍的な法則なのです。