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 新型コロナ後の経済復興を見据えて、主要各国が二酸化炭素(CO2)の排出と吸収を同じにするカーボンニュートラル関連の政策目標を打ち出す。欧州や中国に続いて、日本も菅首相が「2050年カーボンニュートラル宣言」を打ち出す。さらに米国が「パリ協定」に復帰した。「ゲームチェンジ」が始まる新しい時代に向けた各社・各国の最新状況と企業への処方箋を解説する。

 カーボンニュートラルの実現を目指す上で日本企業の最大の問題点は、従来の延長・枠組みの中で考えてしまい、思い切った手を打てないことだ。代表例が自動車業界である。

 2020年末、日本自動車工業会は50年のカーボンニュートラルに向けた基本的な考え方を表明した。会長の豊田章男氏は「業界を挙げて全力で挑戦する」と話す一方で「自動車のカーボンニュートラル化は自動車業界の取り組みだけでは難しい」と訴えた。

 その通りだが、「ここまでは自動車産業、ここからは電力産業(または政策)」という区分けにこだわる限り、カーボンニュートラルは実現しない。

悩みの構造
悩みの構造
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 自動車業界にとどまらず、日本全体の企業に感じることでもある。「自社の業務プロセスをどう低炭素化するか」という、自社や自社業界に閉じた観点でカーボンニュートラルを考えている場面をよく目にする。

 もう1つ、日本企業で目立つのが、これまでの環境規制の延長線上で捉えていることだ。新たな投資に踏み切りにくくなる。

 例えば、製造業からは「今後の規制目標が分からないため、新たに設備投資できない」という声をよく聞く。確かに、これまでの環境対策は企業にとって規制対応という側面が強く、義務的な上に、具体的な規制値にどう安く対応するのかが重要だった。

 しかし、今始まっているのは新たな社会価値・経営価値を創り出そうという動きだ。規制対応という「最低限」の取り組みで乗り切れるものではない。カーボンニュートラル時代に向けた新しい価値を生み出すことで社会や投資家に積極的に選んでもらえる企業にしなければ、生き残れない厳しい競争が始まったと考えるべきだ。

規制対応ではなく成長投資
規制対応ではなく成長投資
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