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家電の在り方が変わりつつある。根底にあるのは、消費者のライフスタイルの変化に伴って今の家電がその生活にフィットしなくなってきていることだ。新しいライフスタイルに合わせるために、今、デザインの重要性が改めて問われている。大きな変化が起きる家電市場で、消費者のライフスタイルを生み出してきたデザイナーは今、家電の将来をどう見ているのか。今回はSWdesign代表の和田智氏に話を聞いた。

 「家電」という言葉に違和感を覚える。社会が大きく変わろうとしている中で家電という言葉が持つイメージが多くの消費者を引きずらせてしまっており、それぞれの要素を「点」として扱う思考回路が今の日本にはある。

 炊飯器なら炊飯器という「点」でかっこいい・悪い、おいしく炊ける・炊けないと考える価値観だ。キッチンであればキッチン全体を一つの思考の場、暮らしの場として考え、その体系の中で“暮らし感”を見るということが、次の時代に必要になってくる。

独アウディで「A6」「Q7」などのエクステリアデザインを手がけた後に独立。バルミューダのクリエーティブディレクターなどを務める。(写真:SWdesign)
独アウディで「A6」「Q7」などのエクステリアデザインを手がけた後に独立。バルミューダのクリエーティブディレクターなどを務める。(写真:SWdesign)

 私はバルミューダに2012年から外部のデザインディレクターとして参加している。そこでは、どういう風に暮らしを変化させていくかという視点が大切である。重視したのは、暮らしに及ぼす一つの体験であって、それを超えた「幸福感」や「共有感」だ。

 バルミューダは2020年12月に株式上場したため、もはやスタートアップではない。しかし、この8年間で劇的な変化を遂げられたのは、大手メーカーにはない“周波数”を持っており、それが次の時代の周波数に合致して幸福感や共有感を提供できたからである。今後はバルミューダだけではなく、あらゆるメーカーがこの周波数をどう捉え、時代のセンシティビティーに対応できるかという競争になる。