全1365文字

家電の在り方が変わりつつある。根底にあるのは、消費者のライフスタイルの変化に伴って今の家電がその生活にフィットしなくなってきていることだ。新しいライフスタイルに合わせるために、今、デザインの重要性が改めて問われている。大きな変化が起きる家電市場で、消費者のライフスタイルを生み出してきたデザイナーは今、家電の将来をどう見ているのか。今回はパナソニックのデザイン本部 本部長(兼)アプライアンス社デザインセンター 所長、臼井重雄氏に話を聞いた。

 コロナ禍の影響で、家電の存在意義が改めて認識されている。ここでもう一度、顧客起点に立ち返り、徹底的にユーザーのことを知るという、当たり前のことをやらなければいけない。そして自分たちが今まで培ってきた家電の歴史の中で当たり前だと思っていた使い方や家電の価値が、実はかなり変わってきているということが分かってきた。

 例えば少し前までは、3枚刃のシェーバーを4枚刃、5枚刃にするといった機能の積み重ねをしていた。しかし現在は、ユーザーの状態や困りごと、本当に求めていること、さらには生活を豊かにしてユーザーの笑顔を作れるために何をすればいいのかを真剣に考えている。

1990年松下電器産業(現パナソニック)入社。中国拠点の設立などを経て2019年に現職。(写真:パナソニック)
1990年松下電器産業(現パナソニック)入社。中国拠点の設立などを経て2019年に現職。(写真:パナソニック)

 この視点に立ち返ると、議論すべきはそもそも何を作るのかといった話になる。そして、それにはデザインだけの要件ではなく、ビジネスの視点、技術の力が欠かせない。必要なのは、BTC(ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ)のような多様な人材が集まるチームだ。

 仮にデザイナーにインサイト力があったとしても、そこから後をドライブできないので、BTCというチームで開発の上流からチームで取り組むことが重要になる。

 そこで当社では、デザイン部の外にそのようなチームを作ろうと考え、2020年4月にアプライアンス社の中でBTC人材からなる「FLUX(Future Life UX)」チームを作った。徹底的な顧客起点のインサイト、我々が次に張るべき価値領域などを調べ上げて、先行的な商品企画などを手がけるチームだ。