ソニーは、デザインによるスタートアップ支援に本格的に乗り出す。ロボットや自動運転車などのハードウエアを手掛けるスタートアップが増える中、同社のノウハウを生かせると判断した。
同社デザイン部門から2020年4月に独立したソニーデザインコンサルティング(東京・港)が、Final Aim(東京・文京)と提携し、デザインによるスタートアップ支援に向けた取り組みを共同で進める。スタートアップの成長を促し、デザインへの投資拡大を狙う。
Final Aimは、企業の新規事業支援などを手掛けるスタートアップ。カブク(東京・新宿)出身の朝倉雅文氏(Final Aim最高経営責任者)と横井康秀氏(同社最高デザイン責任者)が19年12月に創設した。経験豊富なソニーと、スタートアップの実務に詳しいFinal Aimのタッグで、デザインの重要性を訴求する。
デザインの重要性が理解されていない
「スタートアップにこそデザインの力が必要なのに、重要性への理解が欧米よりも低い」。ソニーデザインコンサルティング クリエイティブディレクターの福原寛重氏は、スタートアップ支援に乗り出す理由をこう語る。人や時間、予算が限られているスタートアップでは、デザインは後回しにされがちだ。ハードウエアの中身がほぼ出来上がった状態で外観形状やロゴなどのデザインを相談されることも多いという。
しかし、本来は開発の上流段階でビジネスモデルやユーザー体験と合わせてデザインを考えなければ、十分な効果を得られないと福原氏は指摘する。ソニーでは当たり前の認識だったが、社外では違うということに気付かされた。
とはいえ、余裕のないスタートアップにそれを嘆くだけでは問題の解決にはならない。「どうすればデザイナーが上流段階に入り込めるかと、発想を転換した」(ソニーデザインコンサルティング シニアマネージャー/シニアプロデューサーの江下就介氏)。スタートアップ出身の朝倉氏と横井氏が創業したFinal Aimとの提携もそれが目的の1つだ。