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 ルネサス エレクトロニクスは2021年2月8日、英Dialog Semiconductor(ダイアログ・セミコンダクター)を買収することで合意したと発表した。ミックスドシグナル(アナログ/デジタル混載)技術や人材を取り込み、主にIoT(Internet of Things)分野での製品開発に生かす。

 ルネサスは、ダイアログの全株式(発行済み普通株式と発行予定普通株式)を1株当たり67.5ユーロで取得する。買収総額は、約49億ユーロ(約6157億円)である。買収完了は、21年末を予定している。

 ダイアログは、電源制御ICを主力製品とする半導体メーカーである。米Apple(アップル)への依存度の高さが課題だったが、ここ数年は製品分野や顧客の分散化を進めてきたという。19年度は売上高に占めるアップル向けの割合が66%だったが、23年度末に25~30%まで下がる見通しだ。製品分野についても、充電制御IC、AC/DCコンバーターIC、低電力通信IC(Bluetooth Low EnergyやWi-Fi)など多角化してきた。

ダイアログ・セミコンダクターの製品ラインアップ。電源制御IC以外の製品を強化してきた(出所:ルネサス エレクトロニクス)
ダイアログ・セミコンダクターの製品ラインアップ。電源制御IC以外の製品を強化してきた(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 ルネサスは、これらの製品や人材を取り込み、自社のMPU/MCUと組み合わせることで売り上げ拡大を図る。ルネサス代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)の柴田英利氏によれば、最近は複数のICを組み合わせた「ソリューション」を求められるようになっており、こうしたニーズに応えられるようになるという。

 ダイアログ買収によって、ルネサスは増収による増益効果として買収完了から4~5年後に約2億米ドル(約211億円)を見込む。増収は、主に両社製品の併売(クロスセル)と、両社の製品を組み合わせたソリューションによって実現するという。加えて、重複する機能の統合や規模を生かした調達費削減などのコスト削減による増益効果として買収完了から3年後に約1億2500万米ドル(約132億円)を見込む。

 ダイアログ買収の効果が最初に表れるとルネサスが見ているのは、IoT分野である。特に低電力通信ICを内製できるようになるのは大きいと、同社の柴田氏は語る。一方、自動車分野については「時間がかかる」(同氏)。具体的には、ヘッドランプやコックピットのLEDバックライト、キーレス・エントリー・システムなどで相乗効果がありそうだという。