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Q6:どんな人が住むのか?

 まず、技術やサービスの「発明家」、およびその利用者である高齢者や子育て世代を入居させる。CES 2020では住民数を2000人程度と発表していたが、初期は360人程度となる予定である。

 高齢者や子育て世代を優先的に入居させるのは、「多くの社会課題を抱えている」(章男氏)からだ。これらの人々と発明家を一緒に住まわせることで、課題解決に向けた発明を促す。発明家には居住期限を設け、期限までに成果が出ない場合は別の発明家に交代させる。

 トヨタ自動車は、ウーブン・シティのパートナーをWebサイト上で募集している。20年11月時点で約3000の個人・法人から応募があったという。

Q7:どのような技術を検証するのか?

 トヨタ自動車は、ウーブン・シティで検証する技術として以下を挙げている。

  • 自動運転
  • Mobility as a Service(MaaS)
  • パーソナルモビリティー
  • ロボット
  • スマートホーム
  • AI

 ウーブン・プラネット・ホールディングスは、「Arene(アリーン)」と呼ぶソフトウエア開発環境の活用も見据えている。Areneによって自動運転ソフトなどの開発を効率化できる他、パートナー企業との協業もしやすくなるという。

Q8:どんな人や企業が参加するのか?

 パートナー企業として、まずNTTが挙げられる。同社とトヨタ自動車は20年3月24日に業務資本提携を締結しており、目的の1つに「スマートシティーの実現」を掲げていた。両社は「スマートシティプラットフォーム」を構築し、ウーブン・シティや東京都港区品川エリア(品川駅前のNTT街区の一部)に先行的に実装する計画だ。

 この他、トヨタ自動車はパナソニックと折半出資で20年1月に、街づくり事業を手掛ける合弁会社のプライム ライフ テクノロジーズ(東京・港)を設立している(その後、三井物産も少額出資)。この提携自体はウーブン・シティよりも前に発表されたものだが、パナソニックがウーブン・シティに参加する可能性もありそうだ。

 発明家など入居者については、21年2月19日時点で明らかになっていない。今後、順次発表するとみられる。

Q9:投資額は?

 トヨタ自動車は、ウーブン・シティへの投資額を公開していない。20年5月12日開催の20年3月期通期連結決算説明会において、ウーブン・シティへの投資額を問う質問が出た際には、同社執行役員の近健太氏が「計画を詰めている最中」と回答していた。

 ウーブン・プラネット・ホールディングス傘下の投資会社であるウーブン・キャピタルは、スマートシティーや自動運転技術などでパートナーとなり得るスタートアップに投資することを目的にしている。運用額は8億米ドル(約846億円)である。

Q10:データのプライバシーは大丈夫?

 トヨタ自動車や、そのパートナーのNTTは、スマートシティーで得られるデータの扱いについて慎重である。「誰のためのデータなのか」(章男氏)、「データは囲い込まない」(NTT代表取締役社長の澤田純氏)と語っており、大量に集めた個人情報を利益に変える米Google(グーグル)との違いを明確にする。

 実際、グーグルがカナダで進めていたスマートシティー開発計画はプライバシーの懸念を払拭できず、市民の反対を受けて頓挫した。GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon.com)のデータ独占に対する規制の動きが世界各国で活発化する中、トヨタ自動車やNTTの方針は有利に働く可能性がある。

 トヨタ自動車やNTTがデータの「民主化」に向けて有望視している技術は、ブロックチェーンである。両社が開発しているスマートシティプラットフォームにおいても、同技術は重要な要素と位置付けられている。