Q5:運転操作の交代要請は車両から運転者にどのように伝えるの?
レジェンドでは、運転交代要請の伝達に視覚、聴覚、触覚の3つを用いている。メーターパネルやナビ画面、ステアリングホイール/ナビ画面上部/グローブボックスに設けた表示灯、警告音を鳴らすスピーカー、およびシートベルトをインターフェースに用いる。
運転交代の要請を出す際は、まずメッセージをナビ画面とメーターパネルに表示させ、警告音を鳴らす。同時に、メーターパネルに表示する「ステアリングホイールを握った手のアイコン」の手の色と表示灯の色を、青からオレンジに切り替える(図4)。
運転者がそれに応じなかった場合は、さらに同アイコンの手と表示灯の色を赤に切り替え、警告音を強め、シートベルトをぽんぽんと引っ張って体感からも強く促す(図5、6)。
それでも運転者が応じ続けなかった場合は、ハザードランプとホーンで周囲に注意を喚起しながら減速・停車する。路肩がある場合は、左側車線に向かって減速しながら車線変更を支援するが、状況によっては車線変更せずに停車することもある。レジェンドの開発責任者を務めたホンダ四輪事業本部ものづくりセンターの青木 仁氏によれば、シートベルトを引っ張るのは、メッセージを発してから約4秒後だ。
停車後は、ヘルプネットを通じてコールセンターに通知する。
Q6:周囲を監視するためにどんなセンサーを使っているの?
レジェンドが外界認識センサーとして搭載しているのは、2つのフロントカメラ、5つの3次元レーザーレーダー(LIDAR)、5つのミリ波レーダーである(図7)。異なる種類のセンサーを組み合わせることで、それぞれの弱点をカバーしながら冗長性を持たせている。
ちなみに、冗長化しているのは外界認識センサーだけではない。ブレーキや電動パワーステアリング(EPS)を冗長化している他、電源ではDC-DC(直流・直流)変換器を追加しセカンド電池も搭載している。外界認識センサーも、一方のカメラとミリ波レーダー、他方のカメラとLIDARと2系統に分け、それぞれにサブECU(電子制御装置)を搭載している。
今回のレジェンドが1100万円と高価になったのは、この冗長化が大きな要因になっている。冗長化のために2重、3重にシステムを組むと、設計も搭載する要素も追加になる。レベル3の自動運転機能の普及拡大に向けては、低コスト化が最大の課題になりそうだ。
ちなみに、軽自動車にレベル3の自動運転機能が載るのはいつごろになりそうなのか。杉本氏は、「10~20年くらいの間に(そういう時代が)来てほしい」と希望を語る。