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Q4:廃炉の費用はいくら?

 政府が16年12月に公表した試算によると約8兆円。その他、「被災者への賠償」「除染」「中間貯蔵の費用」を足し合わせると、事故の処理費用は総額21.5兆円とされる。

Q5:原子炉の跡地はどうなる?

 現時点で具体像は示されていないが、更地に戻すのは困難との見方もある。政府の中長期ロードマップには、廃炉完了後の跡地に関する言及はない。

 過去を振り返ると、1996年に日本原子力研究所(現在の日本原子力研究開発機構:JAEA)の動力試験炉「JPDR」を解体した後、更地に戻した例がある。ただし、事故を起こした福島第1原発と、通常の廃炉を経たJPDRでは、状況が異なる。

Q6:現在の冷却システムと汚染水の状況は?

 崩壊熱を発する燃料デブリが残ったままの1~3号機は、いまも圧力容器内に注水して冷却を続けている。炉内の構造物や燃料デブリに触れたこの水が、放射性核種を含む「汚染水」となっている。経路の詳細は明らかではないが、この汚染水がどこからか漏洩し、原子炉建屋内に流れ出している。加えて建屋内に流れ込んだ地下水や雨水が混ざって汚染された滞留水となっている。

 現在は、原子炉建屋とつながるタービン建屋からこの汚染された滞留水を回収し、放射性核種の低減と淡水化処理を施した上で再び炉心冷却に注水する「循環注水冷却」システムが構築されている。

汚染水処理システムの概要
汚染水処理システムの概要
「セシウム吸着装置」でセシウム・ストロンチウムを低減させた後、「淡水化装置」を通した水を冷却水として再利用する。地下水などによる増分は、多核種除去設備で主な放射性核種を低減させて処理水として保管している。(出所:東京電力ホールディングス)
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 具体的には、まず「セシウム吸着装置」においてフィルターで主な放射線源であるセシウムとストロンチウムを吸着する。セシウムとストロンチウムを低減させた汚染水は、淡水化した上で規定量を冷却水として再利用している。

 ただし、地下水・雨水の流入により滞留水は増え続けている。そのため淡水化装置で塩分濃縮された処理水(ストロンチウム処理水)を、「多核種除去設備」(ALPS)でさらに処理し、62の核種の放射能濃度を低減させている。だが、ALPSもトリチウム(3重水素)だけは除去できない。従って、最後に残ったトリチウムを含む処理水をタンクに貯蔵し保管しているのである。処理水は日々増え続けており、この処理が大きな課題となっている。