全2835文字
PR

Q7:トリチウムはなぜ分離できない?

 トリチウムは陽子1つと中性子2つからなる質量数3の放射性核種で、半減期は約12年である。水素の同位体で、通常は酸素と結合してトリチウム水として存在している。化学的性質は軽水とほぼ同じであるため化学的方法による軽水との分離が難しい。質量数の違いを利用し、トリチウム水をガス化した上で遠心分離することは原理的には可能だが、処理水の量が多いためコスト面から非現実的である。

Q8:敷地内のタンク容量はいつまでもつ?

 21年2月時点で、処理水の総量は120万m3超、貯蔵タンク数は1000基以上に上る。20年12月には、計画していた総容量137万m3分のタンク設置が完了しているが、これも22年夏にはいっぱいになる見込みだ。処理水の処置は待ったなしの状況となっている。

処理水の貯水タンク群
処理水の貯水タンク群
(出所:桜井 淳、撮影:東京電力ホールディングス)
[画像のクリックで拡大表示]

Q9:福島第1原発の他に、廃炉予定の原発はある?

 21年2月時点で、国内の原発60基のうち24基の廃炉が決まっている。この数字は福島第1原発の6基も含んでいる。

 実は、24基のうち3基は、東日本大震災の前から廃炉に着手していた。最も早いのが、1966年に営業運転を始めた日本原子力発電(東京・台東)の東海発電所(茨城県東海村)。廃炉完了は30年度を見込む。

全国の原子力発電所の状況
全国の原子力発電所の状況
2021年2月8日時点。全国に60基ある原子炉のうち、廃炉が決まったのは24基。再稼働した9基には、定期検査で停止中の原子炉を含む。(資源エネルギー庁、日本原子力産業協会の資料を基に日経クロステック作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 原発の寿命は法令によって原則40年と定められている。廃炉そのものは全国の原発がいつかは迎える挑戦だ。

Q10:世界で廃炉を完了した原発はある?

 廃炉を完了した発電用原子炉は、世界に17基あるとみられている。国別の内訳は、米国13基、ドイツ3基、そして日本の1基である。日本の1基は前述した動力試験炉「JPDR」で、1996年に廃炉が完了した。

 国際原子力機関(IAEA)によれば、2021年2月末時点で運転中の発電用原子炉は世界に443基あり、運転を止めて廃炉を決めたのは192基である。