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Q7:いつから量産を開始するか?

 21年秋にも量産を開始する方針である。同社は20年に福井県越前市に量産工場を新設した。全樹脂電池を量産する設備設計は、三洋化成工業の愛知県内の工場で検証しており、妥当性を確認済みとする。

APB福井工場の建屋の外観
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APB福井工場の建屋の外観
(出所:三洋化成工業)

 量産開始直後は小規模生産で生産ラインに人手を用いるが、徐々にすべてのラインを自動化していく予定だという。目標は「5~10年で数千億円規模の事業」(三洋化成工業 社長の安藤孝夫氏)にすることだ。

Q8:他社との協業状況は?

 「20年に各社から総額約100億円の投資を受けた」(堀江氏)。同年に第三者割当増資で同社に出資したのは、JFEケミカル、JXTGイノベーションパートナーズ、大林組、慶應イノベーション・イニシアティブ1号投資事業、帝人、長瀬産業、横河電機など。調達資金は量産工場の設立に向けた。

 なお、出資企業には全樹脂電池の開発・市場形成のパートナーとして、量産やその後の市場展開に必要な支援も受ける予定。具体的には、JFEケミカルは、負極材料のハードカーボンの提供を主軸に、電池開発に協力する。「JXTGや長瀬産業からは様々な材料、大林組からはビルなどでの定置用電池の設置、帝人からはカーボンナノファイバー、横河電機からはセンサーやITを使った電池監視システムなどでの協力を期待したい」(堀江氏)という。

Q9:今後のロードマップは?

 同社は24年までに、30GWh/年程度の量産工場の新設を目指す。想定投資費用は1000億円。それに向け、21年末までに福井工場で製造技術と大量生産体制を実証する。技術面では、電極材料を変更するなどしてエネルギー密度の向上を目指す。

Q10:EV用バッテリーに使う予定は?

 電気自動車(EV)用の電池市場には、当面は進出しないもよう。「EV用の電池は経済的にもシステム的にも将来の定置用電池とは異なる存在」(堀江氏)のため、定置用を念頭に置いた全樹脂電池をすぐにEV用に適用するのは難しい。加えて、「自動車メーカーからは様々な要求がくるため、個別に対応する必要があるが、それに対応するリソースがない」(堀江氏)というのも大きな理由だ。まずは単一品種を大量に作れる定置用に絞る。