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Q6:脱炭素モビリティーは本当に使いやすいか?

 脱炭素モビリティー(脱炭素車)は、走行中のCO2排出量を抑える電動車の総称。世界的な環境規制を追い風に、既存の自動車メーカー以外にも多様なプレーヤーが開発に乗り出している。

 特に注目を集めるのがEVだ。EVは、2次電池パック(以下、電池パック)にためた電気で駆動用モーターを動かして走る。走行中の環境負荷を抑えられる利点がある一方で、長年、充電時間の長さが課題として指摘されてきた。

 この課題解決に貢献し、使いやすい車両を実現するのが「交換式電池」の仕組みだ。充電済みの電池パックを乾電池のように交換して使う。交換時間は短いケースで10秒未満。そのため、航続距離が“無限”であるかのように連続して走れる。1個の電池パックを多用途で使い回せばコストに優れる。資源の無駄遣いを減らせて環境にも良い。

 日本勢ではホンダがこの仕組みで先行している。

Q7:メタネーションが注目されるのはなぜか?

 メタネーションとは、CO2と水素を利用してメタンを生成する技術のこと。カーボンニュートラルはCO2の発生を抑制するだけではなく、吸収または除去する技術も利用して温暖化ガス全体の排出量をゼロにしていく試みだ。そのため、CO2の吸収や除去を担う技術に注目が集まっている。

 大阪ガスはメタネーション技術に取り組む1社だ。発生したメタンを既存の都市ガスインフラで運搬することを想定する。メタネーション技術の開発においては、設備の工夫などを通じ、既存手法よりもエネルギー変換効率向上を狙っている。

 なお、メタネーションの他にCO2の吸収や除去を貢献する技術には、CO2を利用する人工光合成技術や、工場で発生したCO2を回収して地中に埋める(CO2回収貯留、Carbon dioxide Capture and Storage:CCS)などの技術がある。

Q8:浮体式洋上風力発電を着床式と比べた利点は?

 日本の海洋構造に適していることだ。欧州の北海などとは異なり、日本には遠浅の海域が少ない。そのため、海底に基礎を造って風車を固定設置する「着床式洋上風力発電」システムの導入可能面積が小さい。一方、海上に浮かせた浮体式海洋構造物(以下、浮体)に風車を乗せ、浮体が漂流しないように係留ロープで海底につなぎとめる「浮体式洋上風力発電」システムは、より沖合の海域にまで設置することができる。

 戸田建設が2016年に国内で初めて実用化した他、日立造船や大成建設、東京ガスなど複数の企業が事業化している。日本政府は洋上風力発電全体の導入目標について、「2040年までに最大45GW」と掲げている。この達成に向けて、浮体式洋上風力発電は不可欠の技術だ。

Q9:スマート交通を実現する新サービスとは何か?

 人の移動で脱炭素化を図る交通システムをスマート交通と呼ぶ。自家用車への依存度を下げ、電動化や自動化した公共交通機関に移動手段を振り分ける。また、ラストワンマイルの移動には自転車を推奨し、短距離の移動でも徹底してCO2の排出量を抑えていく。

 注目を集めるのが、次世代移動サービス「MaaS(Mobility as a Service、マース)」である。多様なモビリティーを組み合わせて移動サービスを提供するもので、飛行機や鉄道による長距離移動や、バスやタクシーでの中距離移動、小型モビリティーや自転車による短距離移動などを1つのシステムで切れ目なく使えるようにする。

 MaaSの国内市場は2030年に2.8兆円を超えるという予測もある。日本政府も期待を寄せ、「地域公共交通の充実やMaaSの利便性向上の取り組みを官民一体で推進する」と意気込んでいる。専用車両の開発も活発で、トヨタ自動車などが積極的な姿勢を見せる。

Q10:レジ袋有料化の時代に消費者に選ばれる材料は?

 グリーン材料が消費者に抜群の好印象を与えている。グリーン材料は環境負荷軽減に貢献する材料の総称で、特に炭素中立の条件を満たす植物由来の原料を使った材料を指す。

 その代表格にバイオマスプラスチックがある。バイオマスプラスチックは、植物をはじめ再生可能な生物由来の有機性資源(化石資源を除く)である「バイオマス」を原料とするプラスチックのことだ。いわゆるバイオプラスチックの一種である。バイオマスプラスチックの中には、生分解性を持つものもある。土や海の中など微生物がいる環境にあると水とCO2に分解されるため、自然界を汚染しないため、さらに消費者の印象が良い。

 セルロースナノファイバー(CNF)も開発が加速しているグリーン材料の1つだ。CNFを強化材としてプラスチックに混ぜて成形すると、軽量で高強度なCNF強化プラスチックができる。他にもさまざまな特性も備えており、最近製品化が相次いでいる。CNFをコーティングした飲料向け紙コップや、ランニングシューズのミッドソール(甲被すなわちアッパーと靴底の間にある中間クッション材)、卓球ラケット用素材、CNF強化プラスチック材料などだ。タイヤでの実用化例もある。