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 スイス発の3輪電気自動車(EV)が日本に上陸する。現地メーカーKYBURZ(キーバス)製の車両で名称は「2ndLife(セカンドライフ)DXS」。2021年4月に日本で販売を始める(図1)。普通自動車免許で運転できる。3輪のため転倒の危険性が低い。1充電当たりの航続距離は最長115kmでいわゆる「ラストワンマイル」の移動需要を開拓する。日常利用から、ゆくゆくは配送用としても売り込む。価格は約100万円(税込み)である。

図1 スイスKYBURZの3輪EV「2ndLife(セカンドライフ)DXS」
図1 スイスKYBURZの3輪EV「2ndLife(セカンドライフ)DXS」
(出所:イベンタス)
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 同車両は前1輪・後ろ2輪で、3輪バイクに近い形状をしている。EV専用車としてプラットフォーム(PF)から設計した。環境に配慮した車両を目指し、使用7年間または累計5万km以上を走った中古車両の部品を交換して「新品に近い状態」(輸入販売元のイベンタス・神奈川県藤沢市)として日本市場に売り込む。車名のセカンドライフはここからとった。

 容量2.4kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)に充電し、電圧24V、最高出力3.5kWの駆動用モーターで走る。ともに後輪周辺に収めた。耐久性を高めた自社生産部品を多用し、特に電池パックと駆動用モーターは「メンテナンスフリー」(保守不要)を掲げる。使用15年間、7000回の充放電を可能にしたという。

 車両質量は120kgで、積載量も同じく120kgとしている。最高速度は45km/h。勾配30度の坂道まで走れる。車両寸法は、全長2000×全幅800×全高1240mmである。

 開発製造元のKYBURZは91年創業でEVメーカーとしては老舗だ。大規模な量産ラインを持たず、熟練工による手作業での組み立てを強みとする。3輪と4輪の小型EVを複数手掛けており、09年からは配達車両としてスイス国営郵便事業会社のスイスポストへ供給している。

 スイス以外でも豊富な採用実績を積む。ドイツやノルウェー、フィンランド、アイスランドといった他欧州諸国をはじめ、オーストラリアやニュージーランドの郵便局でも活用が進む。日本においても郵便配達用途が「本命」とみられ、政府が50年に実現を目指す「カーボンニュートラル」を追い風に躍進を図りたい考えだ。

 現状、日本郵便は一部の郵便局でホンダの2輪EVバイク「BENLY e:(ベンリィ イー)」シリーズを導入している。「交換式」のリチウムイオン電池パックを採用する同車両の1回当たり航続距離は最長87kmだ。KYBURZの2ndLife DXSの方が多くの荷物を長い距離、運べる計算になる(図2)。

図2 航続距離と積載量で原付きクラスのEVバイクに勝る
図2 航続距離と積載量で原付きクラスのEVバイクに勝る
(出所:イベンタス)
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