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 トヨタ自動車といすゞ自動車は428億円を相互出資し、小型トラックの電気自動車(EV)化や燃料電池車(FCV)化などに共同で取り組む。2021年3月24日、トヨタ傘下の日野自動車を含めた3社で発表した。トヨタといすゞは18年8月に資本関係を解消したが、新型コロナウイルスの感染拡大や政府の「カーボンニュートラル」宣言を受けて競争環境が激変。3年ぶりの資本提携に至った。各社は開発コストを分担し、新技術を早期に実現、普及できる体制を整える。

トヨタ自動車と日野自動車、いすゞ自動車の3社は、小型トラックの電気自動車(EV)化や燃料電池車(FCV)化などに共同で取り組んでいく。写真はトヨタが開発した小型FCトラック。(撮影:日経クロステック)
トヨタ自動車と日野自動車、いすゞ自動車の3社は、小型トラックの電気自動車(EV)化や燃料電池車(FCV)化などに共同で取り組んでいく。写真はトヨタが開発した小型FCトラック。(撮影:日経クロステック)
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 「相乗効果を見いだしにくかった乗用車と商用車だが、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)革命によって状況は一気に変わった」――。同日開いた会見で、トヨタ社長の豊田章男氏は再度の資本提携の理由をこう説明した。

 いすゞ社長の片山正則氏は「CASEの荒波を乗り越えるイノベーションを3社で起こす」と意気込む。日野社長の下義生氏は「物流改革に向けてオープンに取り組む」と述べ、他社のさらなる参画を歓迎する姿勢を示した。

 3社は新会社、Commercial Japan Partnership Technologies(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)を設立する。小型トラックを中心に、中型トラックやバン、ピックアップトラックなどで電動化に向けた技術開発をコスト削減しつつ進める。自動運転技術やコネクテッドの基盤づくりにも共同で取り組む。

 商用車業界は提携・協業が活発化している。日野はドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)の商用車部門である同TRATON(トレイトン)と電動化における協業契約を締結した。また、いすゞはスウェーデンVolvo(ボルボ)グループと提携して技術開発を協力していく構えだ。いすゞはホンダともFC技術でも協業するが、大型FCトラック開発を軸とするためトヨタとの新たな取り組みとは競合しないとみる。

 トヨタは電動化技術で「仲間づくり」を急いでいる。例えば21年2月、乗用FCV「MIRAI(ミライ)」の技術を基に外販用のFCモジュールを開発したと発表した。空気供給、水素供給、冷却、電力制御など、関連部品をFCスタックと組み合わせて1つの箱に収めている。同年春以降に発売し、乗用車や商用車をはじめ鉄道や船舶など多様なモビリティーに適用を広げたい考えだ。今後、いすゞが手掛ける小型トラック「エルフ」にもトヨタ製のFCモジュールを載せる可能性がある。