全3837文字
PR

 2021年4月1日、ソニーはグループ経営の強化を目的とした経営機構改革を実施する。伝統ある「ソニー」の商号を変更してまで改革に踏み切る狙いは何か。知っておきたい項目をまとめた。

Q1:ソニーの経営機構はどう変わるのか?
Q2:商号としての「ソニー」は消えるのか?
Q3:経営機構改革の狙いは何か?
Q4:エレクトロニクス事業の経営体制はどうなる?
Q5:なぜエレクトロニクス事業と半導体事業の経営体制を変えるのか?
Q6:ソニーのイメージセンサーは強いのでは?
Q7:グループ経営の強化はエレクトロニクス事業や半導体事業の成長につながるのか?
Q8:ソニーは車メーカーになるのか?
Q9:グループ経営で研究開発はどうなる?
Q10:グループを率いる吉田社長はどんな人か?

Q1:ソニーの経営機構はどう変わるのか?

 21年4月1日付で「ソニー」を商号変更し、「ソニーグループ」に改める。

 これまでのソニーは、グループ本社機能とエレクトロニクス事業の本社間接機能が混在していた。これらの機能を分離・再定義し、ソニーグループはグループ本社機能に特化した会社とする。

 エレクトロニクス事業の機能は、同事業の関連会社を束ねる「ソニーエレクトロニクス」(20年4月1日設立)が承継する。

Q2:商号としての「ソニー」は消えるのか?

 エレクトロニクス事業を承継するソニーエレクトロニクスが21年4月1日付で「ソニー」に商号変更する。つまり、ソニーはエレクトロニクス事業会社の社名として残る。

Q3:経営機構改革の狙いは何か?

 ソニーは、経営機構改革の狙いについて、「各事業の進化をリードし、ポートフォリオの多様性をさらなる強みとしていくため」と説明する。エレクトロニクス事業をグループ本社から明確に切り出すとともに、各事業に単体での成長とグループ全体への貢献を促す。それは、祖業のエレクトロニクス事業をもはや特別扱いしないことを意味する。

 そもそも、ソニーには大きく6つの事業がある。エレクトロニクス(事業セグメント名はエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション)、半導体(同イメージング&センシング・ソリューション)、ゲーム(同ゲーム&ネットワークサービス)、音楽、映画、金融、の6つだ。

 そのうち、ゲーム/音楽/映画/金融の4事業は、「既に各事業会社において事業運営に適した役員体制を有している」(ソニー)。今回の経営機構改革では、エレクトロニクス事業と半導体事業も同様の体制に切り替える。各事業会社の最高経営責任者(CEO)はソニーグループの「上席事業役員」を兼務し、事業の拡大とグループ全体の価値向上を両立させる。

 新体制では、エレクトロニクス事業も他事業と並列の位置付けだ。商号としてのソニーをエレクトロニクス事業会社が受け継ぐのは、“特別な存在”から“全体の一部”になろうとしている祖業への最大限の配慮とも解釈できる。

Q4:エレクトロニクス事業の経営体制はどうなる?

 今回の経営機構改革に伴い、21年4月1日付でエレクトロニクス事業会社(新生ソニー)の代表取締役社長兼CEOに槙公雄氏が任命された。同氏はこれまで、スマートフォン事業会社(ソニーモバイルコミュニケーションズ)の取締役副社長として同事業の再建に従事してきた。

 これまでエレクトロニクス事業のトップだった石塚茂樹氏は、同日付でソニーグループ代表執行役副会長に就任し、同事業を補佐する。石塚氏を支えていた高木一郎氏は、同日付でエレクトロニクス事業会社(新生ソニー)の取締役副会長に就任する。経営陣の世代交代を進める狙いがある。

Q5:なぜエレクトロニクス事業と半導体事業の経営体制を変えるのか?

 これら2事業の収益力に陰りが出ているからだ。

 20年度通期(20年4月~21年3月期)の事業セグメント別業績見通し(21年2月時点)では、エレクトロニクス事業の営業利益率は6.6%と、前出の6事業の中で最も低い。次に低い映画事業でも9.6%、最も高い音楽事業は20%に達しており、エレクトロニクス事業の収益は物足りなく映る。「グローバルの同業他社と比べた利益率は常にベンチマークの対象としている。そこが劣っていると、最終的には競争に負ける」(ソニー代表執行役副社長兼最高財務責任者(CFO)の十時裕樹氏)と、経営陣の危機意識は強い。

 一方、半導体事業の営業利益率の見通しは13.5%と、6事業の中で2番目に高い。だが、主力製品であるイメージセンサーの上得意だった中国・華為技術(ファーウェイ)のスマホ事業が米中貿易摩擦のあおりを受けて急失速。ソニーの半導体事業は減収・営業減益に陥ることになりそうだ。