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 米NVIDIA(エヌビディア)がDPU(Data Processing Unit)と呼ぶプロセッサー製品を猛アピールしている。2021年4月12日からオンライン開催中の開発者会議「GTC 2021」の基調講演で、同社 創業者 兼 CEOのJensen Huang(ジェンスン フアン)氏がDPUの最新製品や製品ロードマップ、DPU採用のスーパーコンピューターなどを発表した。端末や通信内容を含めて「何も信頼しない」ことを前提としたセキュリティー対策「ゼロトラスト」において、DPUが重要な役割を果たすと訴えた。同社はサーバー市場の開拓の新たな武器としてDPUを位置づけている。

セキュリティー対策の重要性を説くNVIDIAのHuang氏
セキュリティー対策の重要性を説くNVIDIAのHuang氏
(出所:「GTC 2021」の基調講演動画をキャプチャーしたもの)
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 DPUはソフトウエア定義のネットワークやストレージ、そしてセキュリティーなどの処理を担い、サーバーのCPUの負荷低減を狙うプロセッサーだ。20年4月に買収を完了した米Mellanox Technologies(メラノックステクノロジーズ)の製品を基にしており、NVIDIAがDPUと位置付けて20年10月に発表した。

 ゼロトラストを前提にした対策が求められる中、セキュリティー関連の処理負荷が増大している。その分、DPUのようなプロセッサーの重要性が急速に高まってきたと説明する。具体例として、NVIDIAが手掛けるクラウド型のゲーム配信サービス「GeForce Now」を挙げた。少し前まで、同サービスでは、遅延時間をいかに短くするかを最重要視してきた。だが、現在では「セキュリティーが最も重要」(NVIDIAの Huang氏)だと説く。GeForce Nowの会員数は現在、70カ国で1000万人ほど。こうした多数の会員に安定、かつ安全なサービスを提供する上で、DPUが重要な役割を担っているという。

 このような背景を説明した後、DPUの最新製品として発表したのが、22年第1四半期にサンプル出荷を予定する「BlueField-3」である。出荷中の現行の「BlueField-2」に比べて、演算処理性能を10倍に高めたとする。基調講演の資料には、BlueField-3の演算処理性能は1.5TOPSで、整数演算のベンチマークである「SPECint」の値は42とある。BlueField-2ではそれぞれ同0.7TOPSと同9だった。

BlueField-3の概要
BlueField-3の概要
(出所:「GTC 2021」の基調講演動画をキャプチャーしたもの)
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 BlueField-3は、英Arm(アーム)のCPUコア「Arm Cortex-A78」(16個)や、暗号化処理アクセラレーターなどを搭載する。トランジスタ数は220億個。BlueField-2の70億個から3倍以上になった。BlueField-3の発表とともに、DPU向けのソフトウエア開発キット(SDK)「DOCA SDK 1.0」を正式にリリースしたことを明らかにした。

 基調講演ではBlueField のロードマップを紹介した。次世代品「BlueField-4」を24年にリリースする予定だ。BlueField-3の大きな違いは、GPUまで搭載することである。トランジスタ数は640億個で、演算処理性能は1000TOPS、SPECintの値を160としている。

BlueFieldのロードマップ
BlueFieldのロードマップ
(出所:「GTC 2021」の基調講演動画をキャプチャーしたもの)
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