全3855文字
PR

 NTTは2021年4月26日、同社が進める次世代情報通信基盤構想「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network、アイオン)」の推進に向けて、富士通と業務提携すると発表した。NTTは20年にNECとも資本提携を結んでいる。NTTが注力するIOWNとは何か。IOWNでどのような世界を実現しようとしているのか。知っておきたい項目をまとめた。

Q1:IOWNとは何か?
Q2:IOWNにはどんな狙いがあるのか?
Q3:IOWNで何が変わるのか?
Q4:IOWNにはどんな技術要素があるのか?
Q5:IOWNはいつ実現するのか?
Q6:過去のNTTの構想とは何が違うのか?
Q7:IOWN構想をどのように推進しているのか?
Q8:どんな企業がIOWNをサポートしているのか?
Q9:なぜ富士通と提携するのか?
Q10:IOWNは成功するのか?

NTTが進める次世代情報通信基盤構想「IOWN」
[画像のクリックで拡大表示]
NTTが進める次世代情報通信基盤構想「IOWN」
(撮影:日経クロステック)

Q1:IOWNとは何か?

 IOWNとはInnovative Optical and Wireless Networkの略。NTTが19年に公表した世界のインターネットや情報処理基盤を変革しようという野心的な構想のことだ。

 現在、世界の情報通信は人工知能(AI)の浸透でデータ計算量が爆発的に増え、このままでは消費電力増に歯止めがかからないという課題に直面している。

 NTTは、電子技術(エレクトロニクス)と比べて省エネルギーという特性を持つ光技術(フォトニクス)を活用し、こうした課題を解決する考えだ。この光技術を、第5世代移動通信(5G)の次を見据えた「6G」時代のコンピューティング基盤から通信に至るまで活用していくのがIOWN構想である。

Q2:IOWNにはどんな狙いがあるのか?

 IOWN構想の生みの親であるNTT社長の澤田純氏は、IOWNの狙いは3つあると語る。

 まずは、世界に対抗する手段としてのIOWNだ。「ITや通信に必要な機器やサービスの多くは、日本製ではなく海外製。今のインターネットはスケールメリットを奪ったプレーヤーが総取りするモデルだ。こうしたプレーヤーに対抗し、自社のビジネスを広げるには、何らかのゲームを変える要素が必要になる」と澤田氏は語る。IOWNは電子技術を中心とした現在の情報通信の仕組みを光技術で塗り替えようという構想であり、世界のIT巨人たちとのゲームを変える手段になり得る。

 2点目は、経済安全保障の観点からだ。米中対立の激化で明らかになったように、海外の技術や資源に頼ったままでは、日本は厳しい状況に陥る。自らが技術を持ち、関連する業界とエコシステムを作り自立していく必要がある。IOWNがそのきっかけになるということだ。

 3点目はデータ計算量の爆発による消費電力増を、IOWNによって劇的に下げていくという狙いである。