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 米Siemens Digital Industries Software(以下、Siemens DIS)は、SoC(System on a Chip)など大規模な論理回路を高速に検証できるシステム「Veloce Hardware Assisted Verification(HAV)プラットフォーム」(以下、HAVプラットフォーム)を拡充した(ニュースリリース)。HAVプラットフォームは複数の論理検証装置などから構成される。すでに、米AMD(Advanced Micro Devices)が、最新のサーバー用MPU「第3世代EPYCプロセッサー」*1の設計検証に使っているという。

AMDがSiemens DISのSoC検証装置をサーバー用MPU「第3世代EPYCプロセッサー」の開発に活用
AMDがSiemens DISのSoC検証装置をサーバー用MPU「第3世代EPYCプロセッサー」の開発に活用
(出所:Siemens DIS)
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 HAVプラットフォームは、ソフトウエアとハードウエアからなる。ハードウエアの中核は、ブランド名が「Veloce」の論理エミュレーターである。VeloceはSiemens PLM Software(現在はSiemens DIS)に買収される前の米Mentor Graphics時代から開発・提供を続けてきた製品で*2、カスタムプロセッサーIC上に検証対象の論理構成を展開する。

 今回、HAVプラットフォームの拡充に当たり、Siemens DISは4つの新製品を発表した。1つはソフトウエア、残り3つはハードウエアである。ソフトウエア製品は、CPUコアなどの高抽象度モデルを利用するための「Veloce HYCON(HYbrid CONfigurable)」(下図の「#1」)。ハードウエア製品は、論理エミュレーター「Veloce Strato+」(同「#2」)と、ラック組み込み型プロトタイピングシステム「Veloce Primo」(同「#3」)、机上で使うプロトタイピングシステム「Veloce proFPGA」(同「#4」)である。

Veloce Hardware Assisted Verification(HAV)プラットフォームの概要
Veloce Hardware Assisted Verification(HAV)プラットフォームの概要
#1、#2、#3、#4が付いた製品が今回新たに発表された。#2の論理エミュレーター「Strato+」には筐体(きょうたい)の大きさが異なる2種類がある。写真の左は「StratoT+」、右は「StratoM+」である。それぞれ1筐体で対応可能な論理規模は、18.75億ゲートと37.5億ゲート。StratoM+を4つ接続すると150億ゲートに対応できる。(出所:Siemens DIS)
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 上記の4つの新製品を含むHAVプラットフォームを利用することで、SoC開発の初期から終盤までの幅広い工程において、ソフトウエアのEDAツール(論理シミュレーターなど)を使う場合に比べて短時間で設計検証が可能になる。以下で、4つの新製品の概要を紹介する。

SoC開発の様々な工程における検証をサポート
SoC開発の様々な工程における検証をサポート
(出所:Siemens DIS)
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