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開発初期からソフトウエアの検証が可能に

 4つの新製品のうち、唯一のソフトウエアであるVeloce HYCONを使えば、SoCに含まれるCPUコアなどの高抽象度モデル(C言語やC++などで表したモデル)を含んだ形で検証できる。例えば、RTL(Register Transfer Level)やゲートレベルといった詳細設計データがある回路ブロックを検証装置に実装し、CPUコアなどの高抽象度モデルはVeloce HYCONを使ってアクセスすれば、両者を一緒にして検証可能である。これで詳細設計データがそろっていないSoC開発初期でも、SoCのCPUコアで稼働するソフトウエアの検証が行える。現在、Veloce HYCONが扱える高抽象度モデルは、「QEMU 5.1.0」と「Arm Fast Model」である。

Veloce HYCONの利用で、ソフトウエア検証の早期実施が可能に
Veloce HYCONの利用で、ソフトウエア検証の早期実施が可能に
(出所:Siemens DIS)
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 3つのハードウエア新製品のうち、論理エミュレーターのVeloce Strato+は、17年2月に発表された「Veloce Strato」*3のアップグレード版である。Veloce Strato+は同じ床面積ならば、Veloce Stratoの1.5倍の規模の論理を扱える。最大で対応できるVeloce Strato+の論理規模は150億ゲートでVeloce Stratoと同じだが、150億ゲート対応する筐体(きょうたい)数は6から4に減った。また、Veloce Stratoの消費電力は14W/Mゲートだったが、Veloce Strato+の消費電力は12W/Mゲートに低減した。さらに同時に使えるユーザー数は2倍に増え、128人になった。こうした性能向上には、新たなカスタムプロセッサーICの採用が寄与した。

 Veloce Strato+が搭載するカスタムプロセッサーIC「Crystal3+」は2.5次元パッケージに封止している。これによって、Veloce StratoのカスタムプロセッサーIC「Crystal3」よりも1パッケージに収容可能な回路規模が大きくなった。その結果、論理エミュレーター内のプロセッサーボード「AVB:Advanced Verification Board」に搭載できるカスタムプロセッサーIC数が16から24(すなわち1.5倍)に増加した。

心臓部のカスタムプロセッサーICが進化
心臓部のカスタムプロセッサーICが進化
Veloce Strato+が搭載するカスタムプロセッサーIC「Crystal3+」は2.5次元実装で複数のダイを1パッケージ化している。(出所:Siemens DIS)
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 Siemens DISのEDA部門(Siemens EDA)の日本法人「メンター・グラフィックス・ジャパン」の神成 明宏氏(AEマネージャ)によれば、Veloce Strato+発売後もVeloce Stratoの販売は続ける。また希望があれば、Veloce Stratoの前世代品の「Veloce 2」*4の販売も可能とのことである。