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役割が異なる2つのプロトタイピングシステム

 残り2つのハードウエア新製品はどちらも市販のFPGAを使ったプロトタイピングシステムで、検証対象論理をFPGAに展開する。論理エミュレーターに比べてプロトタイピングシステムは検証速度が速いが、論理エミュレーターのように回路中の全ノードの値が見られるわけでない。この違いにより、論理エミュレーターはSoC中の論理回路ブロックの設計検証に使われるのが一般的である。一方プロトタイピングシステムは、複数の論理ブロックを組み合わせた検証や、SoCのCPUコアで稼働するソフトウエアの検証に使われることが多い。

 新製品の2つのプロトタイピングシステムのうち、Veloce Primoは、論理エミュレーターのVeloce Strato+/Strato/2のように、企業や事業部門単位に配置し、複数のユーザーが使う。Veloce Primoは最大構成で320個のFPGAを搭載可能で、その構成で128億ゲート規模の論理検証が実行できる。米Xilinxの16nm世代のFPGA「UltraScale+」*5が使われ、7M~70MHzで稼働する。

2つのプロトタイピングシステムの使い分け
2つのプロトタイピングシステムの使い分け
Veloce Primoはエンタープライズ向けで、複数のユーザーが使う。一方、Veloce proFPGAは、1人のエンジニアが机上で使うことを想定している。(出所:Siemens DIS)
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Veloce Primoの概要
Veloce Primoの概要
左側の筐体(きょうたい)には最大で20個のFPGAを搭載できる。その筐体を4つ縦積みで収容したのが右側のラック。このラックは4台接続可能で、その構成では320個のFPGAが搭載されている。320個のFPGAで、128億ゲート規模の論理検証が実行できる。(出所:Siemens DIS)
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 もう1つのプロタイピングシステムであるVeloce proFPGAは、1人のエンジニアが机上で使うことを想定している。この製品は、独PRO DESIGN ElectronicからのOEMである。ハードウエアはPRO DESIGNのFPGAベースのプロトタイピングシステム「proFPGA HPC」と同じだが、「それを利用するためのソフトウエア(コンパイラーやユーザーインターフェースなど)はSiemens DIS製」(神成氏)だという。Veloce proFPGAではproFPGA HPCと同じくXilinxや米IntelのFPGAが選べる。

Veloce proFPGAの概要
Veloce proFPGAの概要
XilinxやIntelのFPGAを搭載できる。XilinxのFPGA「XCVU19P」を使った場合、1つのFPGAに最大4000万ゲート規模の論理を実装可能である。Veloce proFPGAでは1枚のボードに最大4個のFPGAを載せられ、そのボードを最大5枚接続できる。すなわち、最大で20個のFPGAを使って論理を実装可能である。20個を使うと、8億ゲート規模の論理を検証できる。(出所:Siemens DIS)
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 神成氏によれば、HAVシステムのハードウエア(論理エミュレーターやプロトタイピングシステム)は同じソフトウエア(コンパイラーユーザーインターフェースなど)を使ってアクセスできる。このため、例えば、プロトタイピングシステムのVeloce Primoを使ってSoC全体の中で問題個所の当たりを付けておき、論理エミュレーターのVeloce Strato+/Stratoを使って問題個所を特定する、といった利用手順をスムーズに踏めるという。

Veloce PrimoとVeloce Strato+/Veloce Stratoが連係
Veloce PrimoとVeloce Strato+/Veloce Stratoが連係
(出所:Siemens DIS)
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