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中古iPad、新型登場で取引量増加に転じるか

 中古iPadの取引量は、1回目の緊急事態宣言の発出を受け、20年4~6月に大きく増加した。それ以降は微増・微減を繰り返しながら、一定の取引量を保っており、中古iPadニーズも落ち着いてきている。しかし「新型iPad Proの予約開始が4月30日であり、発売後には型落ち機種の取引量が増えると予想する。そのため、中古市場における2021年4~6月のiPad取引量は増加する見通しだ。また通信キャリア別にみると、キャリア版が1%減少に対し、SIMフリー版は73%増加となった。iPhoneと同様に、中古スマホ市場全体でSIMフリー版の需要が高まっていると言えるだろう」(マーケットエンタープラズ)。

2021年第1四半期の中古iPadランキング
2021年第1四半期の中古iPadランキング
出所:マーケットエンタープライズ
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 「21年1~3月は通信業界にさまざまな変化があった時期となった」――同社の菅野辰則アナリストはこう振り返る。「1月に楽天モバイルが新プランを発表すると、3月にキャリア各社がオンライン申し込み限定で格安料金の新ブランドを開始した。キャリアが提供しているというポイントが、オンライン申し込みに対する心理的ハードルを下げるため、オンラインでの乗り換えは、今後、徐々に増えていくだろう」と見る。

 さらに菅野アナリストは、オンライン乗り換えを後押しするように大手キャリアと一部格安SIMがMNP転出手数料を無料化した点に注目。これにより手数料不要で電話番号を変えずに、オンライン乗り換えが可能となるからだ。「4月1日より多くの携帯事業者でMNP転出手数料の無料化は進んでおり、乗り換えの追い風となるのではないか。今後、オンラインでの乗り換えが増加した場合、端末の購入先も変わると予想する。これまでは乗り換えと同時に、キャリアで端末を購入する動きが一般的だったが、新プランや新ブランドは既存ブランドと比べて取り扱い端末がそれほど多くない。自分でスマホを用意し、SIMカードだけ契約する動きが増えていくと考えられる。実際、iPhoneやiPadでは、SIMフリー版の取引量が増えている」(菅野アナリスト)ことから、オンライン乗り換えの活性化とともに、SIMフリー版の需要はさらに高まるとする。