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 国内最大級の自動車技術展示会「人とくるまのテクノロジー展2021横浜」(2021年5月26~28日、パシフィコ横浜)の中止が決まった。主催する自動車技術会が同年4月28日に発表した。中止は20年から2年連続。新型コロナウイルス感染症の拡大を考慮して、オンラインのみの企画展示に切り替える。併設の学会「自動車技術会2021年春季大会」はすでにオンライン開催を決めており、足並みをそろえた。

人くる展2019横浜、トヨタ自動車ブース(撮影:日経クロステック)
人くる展2019横浜、トヨタ自動車ブース(撮影:日経クロステック)
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人くる展2019横浜、旭化成ブース(撮影:日経クロステック)
人くる展2019横浜、旭化成ブース(撮影:日経クロステック)
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 自動車技術会は、寺師茂樹会長の名義で「開催まで残すところ1カ月を切り準備も佳境に入るタイミング、かつ2年連続の直前での中止のご連絡となり、皆様方には多大なご迷惑をお掛けすることになりますことを心よりおわび申し上げます」と表明。中止が苦渋の決断だったことを強調した。同展示会は6月末から名古屋開催も予定しており、可否は5月末までに決定するという。

 横浜でのリアル(現地)開催中止の判断に対して、出展予定だった各社からは理解を示す声が相次いだ。その1社、ヤマハ発動機は4月に開発発表していた最高出力350kWの電気自動車(EV)向け駆動用モーターを出展予定だった。「開発品の現物を見てもらえる貴重な機会だったので中止は残念だが、決定に従い柔軟な対応をとりたい」(同社広報)とする。

 石油元売り大手の出光興産は、次世代の車両開発に使える高機能材料を出展予定だった。同社広報は「担当の機能化学品部が準備を進めてきたが、社会情勢を考えると中止は仕方ない」と話した。

 また、「完全に中止だった前年(20年)に比べ、今年はオンラインで技術をアピールできる分プラスに捉えたい」(日本精機広報)と前向きな意見もある。オンラインでは展示物の大きさや質感が伝わりにくく、説明員に質問も投げかけにくい。視聴者を引き付ける効果的な展示方法の検討が急務になる。

 同年4月22日には、今秋開催予定だった「東京モーターショー」の中止を日本自動車工業会の豊田章男会長が発表したばかり。「モビリティーの魅力を十分に体験できる企画の提供が難しいと判断し中止を決定した」(同氏)として、オンラインの開催もない。

 いずれの展示会も、政府が表明した50年のカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)実現に向けた脱炭素関連の技術が多数出展予定だったはず。現地での会話が生んだアイデアで技術開発が加速する場合もあり、技術者は貴重な意見収集の場を失ったことになる。