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複数のダイを2.5次元実装して1パッケージ化

 量産が始まったAgilexはその前の世代の「Stratix 10」*6と基本的に同じ構造を採る。すなわちFPGAファブリックのダイを中核に、複数のダイ(タイルやチップレットとも呼ばれる)を1パッケージに収めている。Stratix 10はIntelに買収される前のAltera時代に発表されているが、Intelが受託製造してきた。このため、FPGAファブリックはIntelの14nmプロセスで製造し、Intelの2.5次元実装技術のEMIBを使って、全体を1パッケージに収めた。

Agilexは複数のダイ(タイルやチップレットとも呼ばれる)を1パッケージに収めている
Agilexは複数のダイ(タイルやチップレットとも呼ばれる)を1パッケージに収めている
中核は10nmプロセスで造るFPGAファブリックのダイ。(出所:Intel)
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 Stratix 10に比べると、Agilexには主に次の4つの特徴がある。(1)FPGAファブリックの製造技術が14nmから10nmに微細化したこと。(2)FPGAファブリックのアーキテクチャーとして「第2世代Hyperflex」を採用したこと。(3)FPGAファブリックのDSPブロックがディープラーニング向けの浮動小数点フォーマット「bfloat16」をサポートしたこと。(4)外部インターフェースとして、新たにCXL(Compute Express Link)やPCI Express Gen 5に対応したことである。以下、それぞれの特徴のポイントを紹介する。最初は(1)の製造プロセスの微細化。この微細化などにより、Agilexの性能(処理速度)は、Stratix 10より最大45%高く、消費電力は最大40%低くなるという。

 次に(2)の第2世代Hyperflex。初代のHyperflexは、Stratix 10で初めて採り入れたFPGAファブリックのアーキテクチャーである。このアーキテクチャーでは、配線セグメントに「Hyperレジスター」と呼ぶレジスターを設ける。これまでのFPGAでは、レジスターはLE(Logic Element)/ALM(Adaptive Logic Module)内にしかなかった。Hyperレジスターを長いロジックパスの途中に挟むことで、パスの長さを短くして(すなわち1クロックで処理する論理段数を少なくして)、高いクロック周波数で動作させられる。

Hyperレジスターを使うと、クロック周波数を上げられる
Hyperレジスターを使うと、クロック周波数を上げられる
(出所:Intel)
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 第2世代Hyperflexでは、Hyperレジスターを改良した。具体的には、バイパス用のパスを高速化した。Intelによれば、これで、Hyperレジスターを利用するロジックパスだけでなく、利用しないロジックパスの双方を高速化できるという。

第2世代Hyperflexでは、Hyperレジスターのバイパス用のパスを高速化
第2世代Hyperflexでは、Hyperレジスターのバイパス用のパスを高速化
(出所:Intel)
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第2世代Hyperflexでは、Hyperレジスターを利用するロジックパスと、利用しないロジックパスの双方を高速化
第2世代Hyperflexでは、Hyperレジスターを利用するロジックパスと、利用しないロジックパスの双方を高速化
(出所:Intel)
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