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 米Apple(アップル)は、化合物半導体や光学素子などを手掛ける米II-VI(ツーシックス)に4億1000万米ドルを提供する。2017年に設立した米国の製造業向け投資ファンド「Advanced Manufacturing Fund」を通じて行う。21年5月5日(現地時間)に明らかにした。アップルによるとiPhoneなどの製品に搭載する部品の生産能力の増強を図ることが狙いだという。ツーシックスはAR(Augmented Reality)で活用される中核部品を製造している。今回の資金援助は、開発が噂されているAR用の眼鏡型端末(ARグラス)「Apple Glass(通称)」に向けた布石の可能性もある。

 ツーシックスは、顔認証機能「Face ID」やポートレートの自撮り機能などで用いる面発光レーザー(VCSEL)を製造している。このVCSELは、もともとツーシックスが19年に買収を完了した光通信用部品メーカーの米Finisar(フィニサー)が製造していた。アップルは17年に、Advanced Manufacturing Fundからフィニサーに対して3億9000万米ドルを提供すると明らかにしていた。この分と今回の分を加えると、アップルは同ファンドを通じて合計8億米ドルをツーシックスに提供していることになる。

テキサス州にあるツーシックスの製造設備
テキサス州にあるツーシックスの製造設備
(出所:アップル)
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 加えて、ツーシックスはアップルと協力して、3次元計測が可能なセンサー「LiDARスキャナー」の光源のレーザーを製造している。LiDARスキャナーはAR機能のほか、暗所における写真・動画撮影時のオートフォーカスで活用している。同センサーは、タブレット端末「iPad Pro」の20年モデルから搭載され、同年発売の「iPhone 12 Pro」シリーズに搭載された。iPhone 12シリーズは売れ行きが好調な上、21年発売と目される次期iPhoneでは、Proではない、標準モデルにもLiDARスキャナーを搭載することが予想される。そこで、レーザーの生産能力増強に踏み切ったようだ。