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 自動車用半導体の不足は、一般紙やテレビニュースに取り上げられるほど、世間の耳目を集めている。この事態を改めて簡単に説明すれば、おおよそ次のようになる。

 新型コロナウイルス感染症の拡大で自動車の販売台数が一時的に急減した2020年前半、自動車用半導体の発注(PO)が控えられたか、POの一部がキャンセルされたか、あるいは発注予測(フォーキャスト)が引き下げられたかで、半導体ファウンドリーにおける自動車用半導体の「枠」が自動車用以外で占められた。その結果、半導体の製造期間に相当する数カ月から半年後に、生産量が需要を下回り、まもなく在庫が底をついた。なお、POは数カ月単位で行うのが一般的である。

 このような折、半導体業界に詳しい方から、「自動車用MEMSはどうなの?」という質問を受けた。私の知る限り、自動車用MEMSは自動車用半導体のようにひっ迫してはいない。何人かの業界関係者に聞いたところ、これは一致した見解だった。また、それはどうしてなのかも、これらの方と議論した。話を総合すると、おおよそ次のような事情だと思われる。