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自動車用MEMSの特殊事情

 まず、自動車用MEMSのメーカーにはIDM(Integrated Device Manufacturer)が多いことがあげられる。IDMは設計だけでなく、自ら工場を持ち製造も担う。たとえば、ドイツRobert Bosch(ロバート・ボッシュ)、伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)、米Analog Devices(アナログ・デバイセズ)、オランダNXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)などがそうである。これらのIDMの自動車用MEMSや、そのためのASICのラインは、たとえ一時的に減産があっても他のもので埋まることはないと思われる。

 IDMでも一部のASICは半導体ファウンドリーに外注しているはずであり、また、ファブライト/ファブレスメーカーは、そもそもファウンドリーを使って製造している。自動車用半導体がひっ迫しているくらいだから、MEMS用ASICもひっ迫するはずではないかという疑問が出て当然である。しかし、これにも不足感はないということであった。

 その理由の1つは量が少ないことではないかと思う。自動車用MEMSのASICは、コンシューマー向け半導体と比較してけた違いに少量である上、そのダイサイズも小さいので、ウエハー数にするとさらに少なくなる。自動車用MEMSメーカーは、ただでさえ少ない発注量を一時的に減らしたりしない/できないのではないか。また、巨大半導体ファウンドリーにしてみれば、製造キャパシティーに対して「誤差程度」であるということになる。

 自動車用MEMSは今のところ問題ないのだが、コンシューマー向けMEMSのASICにはひっ迫感が出ているようだ。これはコンシューマー向けMEMSの数が多いこと、ASICの製造ラインが自動車用半導体のそれと重なることが理由である。さらに、巣ごもり需要でコンシューマー向けMEMSの需要が増えていることもある。なお、MEMSダイ(製品としてのMEMSはMEMSダイとASICダイからなる)もファウンドリーで製造されているが、その製造ラインは特殊で他の半導体には流用できないので、今回の騒ぎとはほとんど無縁である。