米Google(グーグル)が米カリフォルニア州サンタバーバラで以前から準備を進めてきた、量子コンピューターの新しい研究開発拠点「Quantum AI campus」を公開した。2021年5月18日(米国時間)にオンラインで開催した開発者会議「Google I/O 2021」の基調講演で同社 CEO(最高経営責任者)のSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)氏が発表した。合わせて、機械学習向け向け独自プロセッサー「TPU(Tensor Processing Units)」の新バージョン「TPU v4」の性能向上ぶりをアピールした。
Quantum AI campusでは、量子ビットの誤り訂正が可能な実用性が高い量子コンピューターを10年以内に実現することを大きな目標として掲げている。グーグルによれば、量子ビットの誤り訂正を可能にするために、100万個の量子ビットをルームスケール(一部屋サイズ)の量子コンピューター内で物理的に実装する必要があるという。
同拠点は、大きく3つの施設で構成する。量子コンピューターによるデータセンターと量子コンピューターのハードウエアに関する研究所、そして量子コンピューター向けプロセッサー(量子プロセッサー)チップの製造施設である。
基調講演では、機械学習のトレーニング(学習)向け独自プロセッサーTPUの最新バージョン「TPU v4」をアピールした。前世代に比べて演算処理性能を2倍以上に高めた。
スーパーコンピューター「TPU Pod」を4096個のTPU v4で構成すると、演算処理性能は1E(エクサ)FLOPSを超えるという。これは、TPU v3で構成したPodの10倍だとする。