デンソーは、電動航空機用推進システムの事業で米Honeywell International(ハネウェル)とアライアンス契約を締結し、共同事業を開始する。2021年5月24日に明らかにした。両社は19年に電動航空機用推進システムの共同開発を始めたと発表している。今回、その関係をさらに深める。既に顧客とのプロジェクトが進行中で、22年に電動航空機用推進システムの試験飛行を実施する予定だ。
ハネウェルは航空機の装備品の大手で、航空機向けの技術開発に100年以上の実績を持つ。デンソーは、電動推進システムの要素技術であるモーターやモーターを駆動するインバーター、インバーター向けパワー半導体に関して、自動車分野で実績がある。そんな両社の共同事業の対象は、電動航空機用推進システム製品の開発と設計、生産、販売、アフターサービスである。まず、「エアタクシー」や貨物機といった都市型のエアモビリティー、いわゆる「UAM(Urban Air Mobility:都市型航空交通システム)」分野に注力する。
UAM向け電動航空機は、航空機の中で小型の部類に入る。そのため、自動車の電動化技術を生かしやすい。デンソーは、電動航空機向けに独自の磁気回路を用いた高出力モーターや、同社製SiC(シリコンカーバイド、炭化ケイ素)パワー半導体素子を適用した高効率、かつ高周波駆動が可能なインバーターを開発するという。今回の発表資料では、ハネウェルと共同で開発した、モーターとインバーターを組み合わせた電動推進ユニット「EPU(Electric Propulsion Unit)」の外観を披露した。デンソーは以前、自動車用に比べて3倍以上の出力密度を達成した電動航空機向け試作モーターを発表している。EPUには、こうした成果を生かしているとみられる。