据え置き型ゲーム機「PlayStation 5(PS5)」の「逆ザヤ」が解消する。ソニーグループの子会社でゲーム事業を手掛ける米Sony Interactive Entertainment(SIE、ソニー・インタラクティブエンタテインメント)が、2021年5月27~28日開催の投資家向け説明会「IR Day 2021」で明らかにした。2020年11月に発売したPS5はこれまで、製造コストなどの原価が卸売価格を上回る逆ザヤで販売されてきた。逆ザヤが解消されるのは、PS5の2モデルのうち、光ディスクドライブを搭載した標準モデル(スタンダードエディション)である。標準モデルの売上原価と平均卸売価格が21年6月につり合い、逆ザヤが解消する見込みだという。
SIEが担うソニーグループの「ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)」分野(事業)は好調で、同グループの屋台骨になっている。その中で、マイナス要因の1つがPS5の逆ザヤだった。
ゲーム事業の場合、これは特別なことではない。他社も含めて、新型ゲームの発売当初は逆ザヤで販売してプラットフォームを拡大し、ゲームソフトで利益を出す戦術を採ることが多い。その後、ゲーム機でも利益が出るようにして、同事業を拡大する。利益の最大化のためには、いかに早期に逆ザヤを解消するかが重要になる。SIEの資料を見ると、PS5の標準モデルの売上原価は21年3月ごろから一気に下がり始めている。
もっとも、SIE全体の売り上げの中で、ゲーム機が占める割合は以前ほど大きくないという。PS4が発売された13年度では、ゲーム機(コンソール)が占める比率は48%だった。一方、PS5が発売された20年度は同20%である。それでも、まだPS5の標準モデルだけとはいえ、逆ザヤ解消はゲーム事業にとって追い風になる。